国際海洋情報(2021年6月30日号)

1.「海賊抑止のためのギニア湾宣言」署名数が約350に

ギニア湾における海賊の問題を平易に解説し、海賊の脅威から船員を効果的に保護するために必要な対策についてすべての関係者の注意を喚起するため、5月17日、BIMCOが主催し、船主が集まって「海賊抑止のためのギニア湾宣言」を起草したが、世界の3大旗国・大手船社・主要海運団体・ウクライナからナイジェリアまで各国の海運会社・世界経済フォーラムなど既に約350の組織が宣言に署名した。2020年に世界で海賊に誘拐された船員の総数は135名で、その95%がギニア湾で誘拐されたが、この宣言の署名者たちは、2023年末までに海賊による襲撃件数を少なくとも8割削減できると確信している。併せて、国際海運円卓協議会と石油会社国際海事評議会(OCIMF)は、ナイジェリア政府が6月10日に発表したナイジェリア領海内の保安体制を強化するための大規模投資計画であるDeep Blue Projectを全面的に支持することを表明している。

原文
June 29, 2021, BIMCO

2.記録的な「圧力鍋」熱波がカナダと米北西部を襲う

カナダのこれまでの観測史上最高気温の記録は45℃だったが、6月28日、ブリティシュコロンビア(BC)州のリットンで中東や北アフリカで観測されるような47.9℃の史上最高気温を記録した。周辺地域は、このような熱波に慣れておらず、多くの家ではエアコンもないので、熱波により住民の健康・農業・環境に大きな脅威がもたらされている。世界気象機関(WMO)によれば、熱波は沿岸部では今週の初め、BC州内部では今週半ばでピークアウトし、熱波の中心は東のアルバータの方向に移動する見込み。ユーコン準州・ノースウェスト準州では6月に入ってからすでに史上最高気温を記録しているが、これはジェット気流の力が弱く、「熱のドーム」にように熱気が滞留しているためと考えられる。北アフリカ・アラビア半島・東欧・イラン・インド北西部などの北半球の他の部分でも熱波を記録し、何か所かでは45℃を超え、サハラ砂漠では50℃以上を記録した。広範な高気圧に覆われて、ロシア西部とカスピ海地域でも異常高温を記録している。

原文

June 29, 2021,国連


3.英国:国内石炭火力発電所を1年前倒しして2024年10月までに閉鎖

英国政府は、同国内の石炭火力発電所を予定より1年早く、2024年10月までに閉鎖すると発表した。同政府は今回の決定によって、COP26において他国も石炭火力発電所の閉鎖を表明することを期待している。英国の発電に占める石炭火力の割合は、10年前までは約4割であったが、昨年は既に1.8%までシェアを落としており、代わりに風力発電のシェアが1/3以上となっている。ただし、石炭火力の停止は発電事業にのみ適用され、製鉄業などでは引き続き石炭を使用できるため、英国政府は今年に入って、カンブリアで(コークス)原料炭の新鉱山の開発を認めようとして、環境派の猛反対にあって、許可を撤回した経緯がある。英国政府は、政府から独立した気候変動委員会からも、2050年炭素中立目標達成のための、具体的に可能な対策を示していないと非難されている。

原文

June 30, 2021, Independent


4.USCG長官:将来的に北極海で航行の自由作戦の実施を示唆

6月28日、米国沿岸警備隊の長官はブルッキングス研究所主催の講演会で、米国の北極政策について講演したところその概要は以下のとおり。①北極海においては、軍事的な存在感(presence)がそのまま当該国の影響力につながるが、現在米国の軍事的な存在感は大きく劣っている。②米国は、(南シナ海において)国際法に従った近代的な海事統治の実施を標榜しているのと同様に、ロシアが北極海においてどのように振る舞うかについて関心を持っており、もしロシアが国際法に従った行動をとらないのであれば、北極海において将来的に「航行の自由作戦」を実施する可能性がある。③米国は(現時点で)北極海で成し遂げるべき積極的な目標を持っていないが、問題は米国の敵国は明確な目標を持っていることであり、米国の(現在の)戦略としては、敵国が何をできるかということに対して、適応していくことである。

原文

June 29, 2021, Sputnik5


国内ニュース

1.豊田通商:シンガポールでNYKのばら積み船にバイオディーゼルを試験供給
原文

6月29日、豊田通商



2.清水建設:日本国内の洋上風力発電施設建設でFred Olsen Oceanと提携
原文

6月30日、清水建設