国際海洋情報(2021年6月29日号)
1.ハパッグロイドとONEがトレードレンズに参加
トレードレンズは世界的なサプライチェーンの近代化を促進するために、マースクとIBMが共同で立ち上げた中立の第3者的なオンラインプラットフォームで、マースクに加えて、既にCMA CGMやMSCが参加しているが、この度、世界第5位のハパッグロイドと第6位のONEも参加することとなり、両社はシステムの統合を完了した。トレードレンズは、IBMが運用するクラウドとブロックチェーンを利用するが、コンテナ船社10社ばかりでなく既に300以上の荷主やフォワーダー等の物流関係企業等が参加し、世界の600か所以上の港湾とターミナルをカバーしている。今回参加したコンテナ2社は、サプライチェーンの透明性・正確性・速度を増加することによって、物流コストを引き下げることを目標としている。トレードレンズには、今回の2社の参加により、コンテナ船社上位6社のうちの5社が参加し、4200万個のコンテナと2000万件の書類を処理することとなる。
原文
June 24, 2021, Tradelens
2.地球が宇宙から吸収する熱量が2005年と比較すると2倍に
NASAは衛星のセンサーによる「雲と地球の放射エネルギーシステム(CERES)」を利用して、どれだけの熱が太陽(宇宙)と地球の間で出入りしているか観測し、NOAAはArgoと呼ばれる世界の海洋に設置しているブイのネットワークによって、地球上の海水の温度が上昇する速度を正確に予測しているが、この両システムを利用して、地球が太陽から吸収する熱量と地球が宇宙に放出する熱量の差を観測し、2005年時点の熱量の差と比べて、2019年には熱量の差が2倍となって、地球の温暖化のペースが速まっていることが明らかになった。原因としては、大気中のGHGが増えることによって、宇宙に放出される熱量が減り、地球温暖化によって、雪氷が溶けることによって、大気中の水蒸気や雲を増やすことも、地球からの熱の放射を阻害していると考えられる。
原文
June 15, 2021, AGU
3.英国政府:航空事業者ごとのCO₂排出枠リストを発表
英国はEUを離脱してから、独自の排出権取引制度(ETS)を運用しており、発電部門や航空産業などエネルギーを大量に消費する産業がETSの対象となっている。現行制度の下では、ETSによる過度の負担で、これらの産業が海外に移転するのを防ぐために、一定量の無料排出枠が各事業者に認められている。英国ETS制度に登録されている航空事業者は、2021年から2025年の間に認められる自由排出枠について数週間以内に割り当てを受ける予定となっている。
原文
June 29, 2021, Reuters
4.米:インドネシアのバタン島に沿岸警備隊の訓練センターを建設
米国とインドネシア沿岸警備隊(バカミア)は、南シナ海の南端で、シンガポールと対面する工業・交通の要衝であるバタン島の海軍基地に、350万ドルをかけて、バカミアの訓練センターを建設し、バカミアによる国内・国際的な取り締まり能力の強化を図ることに合意し、6月25日、米国大使とバカミア長官がオンラインで出席して、着工記念式典を実施した。バカミアは2014年に創設されたが、近年インドネシアのEEZ内のナトゥナ諸島の沖に中国海警局の巡視船に守られた中国の漁船が侵入するようになってから、周辺海域の哨戒活動を強化している。また同国の領海を通過するベトナム漁船の拿捕も実施し、さらに本年初めには、ジャワ海で違法に瀬取をしていたイラン籍タンカーとパナマ籍のタンカーも拿捕している。
原文
June 28, 2021, Radio Free Asia