Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第440号(2018.12.05 発行)

東京湾における水上交通活用について

[KEYWORDS]2020東京オリンピック/水上タクシー/桟橋の利用
東京ウォータータクシー(株)代表取締役◆田端 肇

東京港における水上交通の一役を担う水上タクシー。
新たな東京の発見を提供すべく「船体構造」「教育」に対応してきた。
東京2020オリンピック・パラリンピックをひかえ海外からの渡航客も増える中でさらなる増船が必要と見込まれる。
そのためにも解決すべき課題は乗降場所の利用方法等に依るところが小さくない。

新たな交通機関としての一役を担う

東京ウォータータクシー(株)は「東京港における海上交通活性化」プロジェクトの第一ステップとして、2016年より東京を「水辺の都」として演出し、国際的イメージアップを図り、道路輸送のみに頼らぬ多様な交通手段を活性化することによって、環境に配慮した国際港湾都市であることを世界的にアピールし、大規模災害の発生時における緊急被災者輸送、陸上交通遮断に対応する連絡交通手段などこまめな舟運機能を発揮し、日本初となる今までに類を見ない公共交通サービスとして事業展開を進めています。
あえて東京港というエリアに絞らせて頂きますが、「港」とは「湾」の中に存在し、船舶が安全に停めることができて業務や旅客の乗降を円滑に行える場所です。東京港は日本一の人口を有する東京の港ですから当然かねてより多様な業務が盛んです。現在は水上バスなどによって観光も行われています。実は江戸時代から使われていた運河は今も多く存在します。しかしながらこんな風情を目の当たりにする機会は中々ありませんでした。このような水路を是非多くの方に見て頂き、東京港と水路を結ぶ交通機関として愛される存在となっていきたいと考えています。
港の交通機関として私たちが当初留意した一つは当然「船体」です。運河は大変狭い場所もあり、最終的には行けなくなる場所もあるためUターンできなければなりません。そのために検討した船体のサイズは約7m程度でなければなりませんでした。また運河には多くの橋が存在します。運河も潮の干満が影響するので配慮が必要でした。船体の背をあまり高くできないということです。そのうえで天候にかかわらず安心してご乗船頂くために「室内を広く取る」「空調完備」「トイレの設置」を施しました。そして苦慮したのが簡易防災船着場の利用です。簡易防災船着場には階段はありますが、浮桟橋がついていません。ということは潮が満ちているときは船の下側で乗降する必要があり、潮が干いている時には船の天井あたりで乗降する必要がありました。そこでたどり着いたのが、船の方に「専用ステップ」を取り付けることでした。色はタクシーとしての認知と夜間でも発見されやすい色をということから初期生産は黄色をベースとして作られました。
そしてさらに港の交通機関として留意したのが操船教育です。海や河川には信号機もありません。船には自動車と違いブレーキはありません。自動車で言えばアクセルとバックです。曲がる時には少し自動車で雪道を走るような状況とお考えいただければ良いと思います。その状態で船体を桟橋に離着岸させるには高い操船技術が要求されます。またそれと同時に信号機もない海や河川を移動するのでルールの遵守と高い注意力が要求されます。現在も日夜トレーニングとリカバリーを繰り返していますが、その甲斐もありお客様を安全に乗降することができています。この面では関係各社に本当に感謝する次第です。

TOKYO WATER TAXI http://water-taxi.tokyo/top ■ロックゲート
河川からゲート内に入ると門が閉まります。そこから水が抜かれていき河川より低い水位にしていきます。水位が合ったところで反対にある運河側の水門が開き運河内に進めます。運河から出て行く時は逆の対応をします。

今後の東京湊の発展に寄与するため

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、多くの海外からの渡航者の増加が見込まれています。私たちもその状況を肌で感じられる状況となりました。そして豊洲新市場のオープン、晴海選手村、有明旅客船ターミナル、日の出埠頭の一部開発など海や河川に向いた施設が続々と完成してまいります。
オーストラリアのシドニーでは水上タクシーは盛んに往来しています。シドニーの港は海に臨む施設が大変多く存在します。東京港はシドニーに比べれば大きな港ではありませんが、河川との繋がりなどを考慮するとシドニーに劣らない高いポテンシャルを持っている港だと考えられます。
施設の発展には交通機関は不可欠です。今や臨海地区の心臓とも言えるゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)も東京国際展示場での大きなイベントでは大変混雑しています。道路においてもオリンピック開催時には大渋滞も予測されます。まだまだ微力ではありますが、水上交通機関として渋滞緩和の一役を担うことも私たちの使命です。そしてそのポテンシャルを拡大することで更なる臨海施設の発展に寄与できると確信するところです。

好きな時に、好きなところへ

タクシーというと東京では特定の時間や場所を除くと空車であれば、手を挙げれば乗ることができます。電話やアプリで呼ぶこともできます。残念ながら水上タクシーはそうはいきませんが運航可能エリアであればお客様の望む「好きな時に、好きなところへ」お連れできるようになることが悲願です。
現状は乗降場があるところでしか乗降りはできません。また当日予約で乗降りできるのは7カ所となります。他の乗降場所の大半は約1週間前の予約が必要となっています。これが大きなハードルとなっているのは間違いありません。関連各所にもご尽力いただいていますが、是非とも新たな施設への結びつきを高めるためにもこのタイムラグをなくしていきたいと考えています。
東京の交通機関でタクシーの利用は4%程度という統計が出ていますが、このタイムラグがなくなれば臨海地区および運航可能エリアでの水上交通すべてで全体の4%程度をカバーできる可能性は出てくると考えられます。
現在当社で運航する水上タクシーは3艇となりますが、今後乗降できる桟橋環境の変化に伴い増船予定です。この桟橋問題を解決することにより当社だけでなく水上タクシーの増加を期待することができます。(了)

■東京ウォータータクシー乗降マップ 東京ウォータータクシーは、2015年11月よりチャーター限定で試験運航を開始、2016年9月より3艇にてタクシー運航を行っている。
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