事業内容
シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナムなど、周辺諸国の着実な経済発展を尻目に、ミャンマーとカンボジアは、現在に至るまで東南アジアにおける経済的発展と協力の枠組みの外に位置し、政治的に独自の路線を歩んできました。しかし、ミャンマーは1997年夏、カンボジアは99年春、それぞれ念願のASEAN加盟を果たし、同地域の経済的発展と協力の枠組みの新メンバーとなりました、政治的にも経済的にも、ミャンマー、カンボジア両国は、いま、重大な岐路にさしかかっています。
本事業の目的は、このような状況の下で、両国を取り巻く国際環境の推移や内政上の変化が、両国の政治・経済・外交・安全保障などにどのように影響を及ぼしているかを、包括的な調査で内外に明らかにし、情報を発信することです。同時に、日本および周辺諸国と両国の将来にわたる研究ネットワークの構築に資することも目指しています。
日本側は、亜細亜大学アジア研究所・友田錫教授を主査とし、各地域および安全保障の専門家5人から成る研究委員会を組織しました。ミャンマー側はミャンマー戦略国際問題研究所(MISIS)、カンボジア側はカンボジア平和協力研究所(CICP)を協力機関とし、以下の調査を実施しました。
1年目は、ミャンマーについては主に97年のASEAN加盟後の変化を、カンボジアについては98年7月に行われた総選挙後の同国の行方を、政治・経済・外交・安全保障という包括的な視点から調査しました。具体的には、上記研究機関研究者のほか、両国の政策担当者、政治家、外交官、NGO関係者、さらにはジャーナリストに至るまで、幅広くヒアリング形式の調査を行い、調査結果を中間報告書(英文および和文)にまとめて、関係各機関に提出しました。
2年目には、1年目に実施した調査を基本的に踏襲しながら、ミャンマー軍政と野党勢力との対話、カンボジアのASEAN加盟問題、ポル・ポト派を巡る国際法廷設置の行方、さらには両国への中国の影響なども含めて、調査内容を深化させました。その結果、ミャンマーについては、経済制裁を巡って日米の政策協調の必要性があらためて浮き彫りにされ、またカンボジアについては96年以来開催されていなかった支援国会合が99年2月東京で再開されるなど、すでに安定期に入ったことが確認されました。
事業実施者 |
財団法人 平和・安全保障研究所
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年数 |
2年継続事業の2年目(2/2) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
8,267,143円 |