事業内容
本事業は、ミャンマーの長期的な発展に欠かせない国内金融資源を増強するために、近代的な金融機関の創設や金融仲介機能の確立、信用秩序を維持するための金融政策の改善といった課題にかかわる政策研究を行うことを目的としています。取り扱う研究テーマは、①国内資金動員の現状と問題点、②投資と貯蓄ギャップ、③金融深化の課題、④国内投資を促進するための金融システムの構築、の4点です。
1998年度は初年度として上記4点の政策研究を行い、さらに、ミャンマーの参加者が、日本および東南アジア諸国の学者、研究者と研究テーマに基づいて意見交換、経験共有するための国際ワークショップを開催しました。
本年度は、前年度の研究成果を踏まえて、以下の活動を行いました。
99年4月に、助成先の東南アジア研究所(ISEAS)の担当者が、ミャンマー側の作業グループの協力を得て、ミャンマーの国内資金動員の方策に関する政策提言を作成しました。また、本事業の政策提言を含めた研究成果の原稿を『Financial Resources Development in Myanmar』と題する英文の書籍にまとめ、ISEASから出版しました。
この成果をもとに、12月17~18日、ヤンゴンで、日本、東南アジア諸国の協力者の参加を得て、ミャンマーの中堅政策担当者、実務家、学者・研究者約150人を対象にセミナーを開催しました。セミナーでは、本事業の研究成果を公表し、ミャンマーの市場経済化の強化、そして近代化に欠かせない国内の資金動員にかかわる金融政策および金融システムの制度確立・創設に関連する提言を行いました。
2年にわたる活動を通じて、ミャンマーが直面する国内貯蓄や資金動員にかかわるさまざまな問題点を体系的に整理することができました。ミャンマー政府に対して近代的な金融機関の創設を促したほか、金融仲介機能の確立、信用秩序を維持するための金融政策の改善等を誘発するための制度および政策の枠組みが明らかになりました。本事業は、今後のミャンマーの金融システム改革の道筋を示したと言えるでしょう。加えて、本事業を契機に、ミャンマー、東南アジア、日本の学者・研究者・政策担当者や実務家の人的ネットワークの強化に寄与したと同時に、日本、東南アジア諸国、そしてミャンマーとの連携型援助の有効性を確認することができました。
事業実施者 |
Institute of Southeast Asian Studies (ISEAS)/シンガポール
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年数 |
2年継続事業の2年目(2/2) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
5,283,262円 |