事業内容
1 9 9 7年のアジア経済危機の要因として、東南アジア諸国における不透明な企業統治、脆弱な公共統治システム、政治・金融・非貿易部門の癒着の構造があげられます。本事業は、同地域の経済システム運営の中核となる企業統治と公共統治に焦点を当て、安定的かつ持続的な成長を実現するための企業活動の再生と、公共部門の改革に欠かせない制度改革について調査研究を行い、政策提言に反映しようというものです。
インドネシア国際戦略研究センター(C S I S)は、調査研究の実施にあたって9人の専門家から成る研究グループを形成して定期的に調整会議を開催し、積極的に情報交換を行いました。
初年度である2 0 0 1年度は、アジア型統治システムの構築に向けた理論的枠組みの調査研究を行いました。
アジア経済危機の前後の各国政府や企業、銀行の行動から問題点や改善点を探ることにより、統治に関する課題、改革をいかに行うべきか、金融制度のあり方、軍事政権の経済的役割などについて研究を行いました。
関連事業間の「研究調整会議」では、進捗状況の報告や研究内容に関する意見交換を行いました。また、同会議を踏まえ、調査研究を進めて模範とすべき基準を設定すること、さらには癒着関係を断ち切ることの重要性を訴える報告書を作成しました。
0 2年度は、初年度に構築した分析枠組みに沿って、「国際」「地域」「国内」という三次元にわたって東南アジア諸国の「ガバナンス(統治)」というテーマを中心に、定量分析や事例比較を行いました。その結果、東南アジア各国の統治システム改革が十分に実行されていないことが明らかになる一方、当該地域がグローバル化に対応していくためには、透明性の高い強力な制度や法律の制定が急務であることが報告書にまとめられました。また、本事業成果は0 3年3月にデリーで開催された「新しいアジアの構築:アジア経済共同体へ向けて」と題する国際会議で、アジア域内の有識者や政策立案者の代表の前で公表されました。2年間の研究成果をまとめた報告書『Governance and Asia's Corporations after the Crisis』は、商業出版される予定です。
事業実施者 |
Center for Strategic and International Studies(CSIS)(インドネシア国際戦略研究所/インドネシア)
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年数 |
2年継続事業の2年目(2/2) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
9,658,500円 |