事業紹介

2006年
事業

スリランカ和平に向けての民間支援

事業内容
スリランカは、中央政府と、北部と東部の分離を主張するタミル・イーラム解放の虎(LTTE)の間で四半世紀にわたって内戦状態にあります。政府とLTTEとの対立は政治レベルにとどまらず、宗教指導者レベル、さらには草の根レベルにまで達し、社会を不安定化させる大きな要囚となっています。本事業は、スリランカ社会に強い影響力をもつ宗教指導者(仏教、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教)に非公式な対話の場を提供することで、相互理解を深め、和平の進展を民間のレベルで下支えし、和平推進における民間のかかわり方の方法論の有効性を明らかにすることを目的とします。
 2005年度は、シンハラ、タミルの両民族の宗教指導者を別々に集めたワークショップを計8回、スリランカ各地(アヌラーダプラ、ダンブッラ、バブニヤなど)で開催しコアとなる宗教指導者を約50人に絞り込みました。
本年度は、選定された4大宗教の指導者をすべて集めた合同ワークショップを計9回開催しました。ワークショップでは、シンハラ語、タミル語の2つの言語に堪能なセワランカ財団のファシリテーターがワークショップの進行を取り仕切り、時に感情に流れがちな宗教指導者たちの議論をコントロールし、ワークショップの継続的な開催を通じて相互の信頼を醸成するにあたり宗教指導者のレベルで何ができるかについて具体的な議論が交わされました。また、07年2月珀から1週間、50人の宗教指導者のなかから選ばれた24人がタイを訪問し、リトリート会議を開催しました。参加者は、バンコクだけではなく、ナコーンシータマラート、ハジャイなどタイ南部の宗教対立がある地域を訪問し、当地の宗教指導者を交え意見交換を行いました。
ワークショップおよびリトリート会議の最終提言として、和平に向けて働きかけを行うための拠点として、多宗教から成る平和促進委員会の設立が提言されました。すでに、トリンコマリー、バブニヤなどでは委員会が設立されています。事業終了後も、この委員会を通じて宗教指導者が草の根レベルおよび政治レベル(スリランカ政府の政治家・現地司令官、LTTE平和事務局など)への働きかけを宗教を超えて行うことで、シンハラ、タミルの両民族の信頼醸成がさらに進むことが期待されています。また、2年間にわたるワークショップを通じて宗教指導者間の信頼が醸成される過程とその方法論の有効性について分析した報告書が作成されました。

事業実施者 Sewalanka Foundation(セワランカ財団/スリランカ) 年数 2年継続事業の2年目(2/2)
形態 自主助成委託その他 事業費 11,724,817円