事業内容
ポル・ポト政権下でカンボジアは、共産主義的な思想教育以外の学校教育が廃止され、教育システムが破壊されてしまいました。和平達成後15年が過ぎたいまも、依然として識字率は低く、特に遠隔地域の教育水準は低いままです。本事業は、カンボジアにおける情報格差解消のための支援の一環として、無線情報通信技術(モバイル・アクセスポイント・ネットワーク・システム:MAP)を用いて、無線機を搭載したオートバイが近くを通過することで各パソコンに蓄積された情報の送受信が行えるというシステムを構築し、同国の辺境地域の小学校でパソコン教育の支援を行い、遠隔地域の学校教育や識字率の向上を図るモデルケースにすることを目的としました。
前年度は、ポル・ポト派の本拠地であったパイリン特別市にある小学校9校を対象に、MAPを用いたインターネットでの遠隔教育や電子メールのシステムを構築しました。また、パソコンの基本的操作方法や、電子メールの使い方を指導する講師の育成を行いました。本システムを利用した生徒は延べ180人に及びます。
本年度は対象地域を拡大し、パイリン特別市に加えて、タケオ、プレアヴィヒア、コッコン、オッドーミアンチェイなどの州の小学校にMAPを導入しました(各州8~10校、計35校、1000人以上)。また、それぞれの地域で選定した小学校に、MAPを通じてインターネット通信を行う情報基地ハブ(インターネット・アクセスポイント)を設置し、農村地域や遠隔地域で、ICT(情報通信技術)による公教育の質的な向上を図るための体制づくりとその運営を行いました。この活動と並行して、MAPシステムを運営する担当者が、タイにおける遠隔教育の実態について視察・研修を行いました。この視察・研修の成果を踏まえて、上述のMAP導入地域の小学校教師を対象に、パソコン使用の教授法ならびにパソコンを用いた英語指導法に関する訓練ワークショップを開催しました。ワークショップは計3回開催され、約100人が参加しています。
本事業によって、交通や通信インフラが十分に整備されていないカンボジアの農村地域や遠隔地域で、ICTを利用した学習システムの定着が図られ、小学校教育の質的な向上や情報リテラシーの向上に資することができました。
| 事業実施者 |
American Assistance for Cambodia/Japan Relief for Cambodia(カンボジア)
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年数 |
2年継続事業の2年目(2/2) |
| 形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
5,470,300円 |