事業内容
アゼルバイジャンの経済は石油の大幅増産を背景に2005~07年のGDPが平均28%増という急激な成長を遂げましたが、石油以外の産業セクターの成長率は10%程度にとどまっています。石油に依存するアゼルバイジャン経済が安定的発展を続けるためには、マクロ経済政策策定のためのモニタリングや正確な経済予測が重要です。本事業は、アゼルバイジャンの経済予測分野の専門家の研究能力の向上と、同国の客観的な経済実態の把握、それに基づく経済政策の提言能力の強化に資することを目的としました。
05年からの3年間、ハザル大学経済経営研究教育センターの研究者が東アジア諸国の専門家の指導を受けながら、マクロ経済の基礎データ収集と経済動向観測、アゼルバイジャン経済の実態に沿った予測モデルの構築などを行いました。事業1、2年目は、同センターの研究者を対象に、マレーシア経済研究所の協力の下、マクロ経済モニタリングに関する研修セミナーや海外視察研修を行いました。研究者たちはそこで得た手法を用い、アゼルバイジャンの短期的な経済動向を観測するため、同国初の企業景気動向調査と消費者心理調査を定期的に実施しました。
最終年度である本年度は、同センターの研究者が短期経済観測と中間予測モデル構築に関連した研究調査を行いました。 07年6月と12月に国内企業200件と家計800件を対象にインタビューを行い、6ヵ月ごとの企業景気動向調査と消費者心理調査を行いました。また、中間予測モデルを構築するため、過去15年間のアゼルバイジャンの経済状況を概観し、同国の経済成長の特徴を分析調査したうえで予測モデルを選定しました。6月には2人の研究者が韓国開発研究院を訪れ、韓国のマクロ経済モニタリングの経験について学び、中期経済予測モデル構築について意見交換を行いました。さらに8月にはハザル大学で集中セミナーを実施し、講師として招いた韓国国会予算局副局長でサンミョン大学教授の白雄基氏の指導・助言を受けました。
一連の活動の成果として、08~11年の3年間の経済予測モデルが完成し、国際通貨基金(IMF)や政府が構築した予測モデルと比較分析を行い、その結果をアゼルバイジャンの主な経済誌に掲載しました。また、研究成果を周知する場として、08年2月9日、政府関係者、国際機関の代表者、マスコミなどを招いた報告会をバクーで開催しました。
事業実施者 |
Center for Economic and Business Research and Education, Khazar University (ハザル大学経済経営研究教育センター/アゼルバイジャン)
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年数 |
3年継続事業の3年目(3/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
8,438,203円 |