事業紹介

2007年
事業

ベトナムNPO法作成支援

事業内容
社会主義体制を維持するベトナムでは、近年、民間非営利組織による活動が注目されつつあります。しかし、政府によるNPOへの規制が強く、他国に比べNPOセクターは依然未成熟です。今後、NPOセクターが発展していくうえで、法制度の整備、関連業務を担当する部署の能力や機能の強化、政府関係者らのNPOに対する認識度の向上が重要な課題です。
本事業は、現在NPO法の策定過程にあるベトナムで、NPOセクターの発展に必要な環境や基盤が同国の政治・社会状況に配慮した形で構築されることを目指し、立法過程で重要な役割を担う立法委員会や政府関係者を対象に調査研究を通じた情報提供や調査研究機能強化を行いました。3年間の活動のなかで、NPO法の国際比較分析や税制に関する調査など13本の調査研究を実施し、調査結果は定例会議や年度末セミナーなどで、立法委員会などの政府関係者、NPOの代表者らに周知しました。また、立法委員会の啓蒙と調査研究機能強化のために、立法委員会の幹部数人を、1年目は同様の政治体制を有する中国へ、2年目は非営利活動の活発なインド、韓国へ海外視察団として派遣しました。さらに、立法委員会と外部の専門家のネットワークを強化すべく、毎年1回会議を開き、ベトナム国立大学やハノイ法科大学の法律専門家やNPO関係者約50人とのネットワークを形成することができました。加えて、政府関係者40人を対象とした法案作成に関する能力強化研修も、毎年1回実施しました。
本年度は、2008年1月10、11日にハノイで年度末セミナーを行いました。約60人の参加者を得て開催されたこのセミナーでは、国際非営利法研究所をはじめ、フィリピン、ハンガリー、スロバキア、日本など海外の有識者による事例紹介がなされ、また、ベトナムのNPO法制や税制について活発な議論が交わされました。
本事業の期間中にNPO法案は国会審議の俎上に上りましたが、残念ながら承認には至りませんでした。しかし、本事業の活動を通じて、立法委員会や政府関係者の非営利活動の重要性に対する認識が深まり、NPO法案の内容が改善され、また財団に関する政令などNPOをめぐる法制度の整備に向けた動きが活発化しました。さらに、政策立案過程におけるNPOの参画の意義について政府関係者の認識度が向上し、他の分野でもそうした機会が増えたことも、本事業の成果だと考えられます。

事業実施者 Vietnam Assistance for the Handicapped(ベトナム身障者支援協会/ベトナム) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 4,676,118円