事業内容
笹川汎アジア基金は、設立以来、移行期にあるカンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマーなどのASEAN諸国の人物交流事業を支援してきました。本事業は、東アジアの安定に向けて特に重要な日本とASEANの関係強化の礎を築くため、若手指導者(20代後半から40代前半の政治家、政府関係者、研究者、ジャーナリストなど)を対象に、年1回の対話の場を提供するものです。
初年度は、マレーシアの若手議員、フィリピン外務省ASEAN局副局長をはじめ、ミャンマーとラオスを除くASEAN8カ国から計35人の参加者がジャカルタに集まりました。政治・外交、経済・財政・金融、社会・文化の3つのテーマの下、米国同時多発テロやバリ事件以降の東南アジアにおける安全保障問題(人間の安全保障を含む)、東アジア地域全般にわたって進められている自由貿易協定、中国の台頭と日本の対応などについて議論が行われました。しかし残念なことに、日程調整の問題で日本からの参加が得られず、討議で日本からの視点が欠けていました。2年度目には、日本国際交流センターの協力を得て、東京で2日間の会議を開催しました。ASEAN6カ国からカンボジア商務副大臣など政治家、研究者ら8人、日本からは河野太郎衆議院議員はじめ、若手の政治家、研究者など20人が参加し、ASEANと日本や中国との関係やASEAN諸国間の関係、ASEANと東アジア共同体建設に向けての方策などについて議論が行われました。
本年度の会議は、2005年2月16、17日にジャカルタで行われました。初日は、「ASEANと日本の新しい関係」「日本・ASEANパートナーシップに向けてのダイナミズム」「日本・ASEANの経済協力関係」の3つのセッションが行われ、超大国である米国、地域大国の中国と日本と、ASEANはどのような関係を構築していくべきか、安全保障面における日本の役割はどうあるべきかについて議論が行われました。2 日目は、日本とASEANの関係を文化社会の視点から論ずるセッションが行われました。「日本のマンガ、アニメの輸出は、ASEAN諸国の日本観を変える1つのきっかけとなっている」という意見が出る一方で、「日本側にはASEAN諸国の独自の文化への関心が感じられない。ASEANにもっと関心をもってほしい」という意見もありました。
まとめのセッションでは、構築したネットワークを今後どのように維持していくかについて議論がなされました。
事業実施者 |
Centre for Strategic and International Studies(CSIS)(インドネシア国際戦略研究センター/インドネシア)
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年数 |
3年継続事業の3年目(3/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
2,554,419円 |