事業内容
カンボジアは、ポル・ポト支配から内戦、そして1991年のパリ和平協定を経て、国の再建が本格化しました。特に経済面においては、年平均7%の経済成長が続き、2004年には世界貿易機関(WTO)加盟を果たすなど、域内統合が進んでいます。しかしその一方で、選挙の度に政局が混乱し、政治的には不安定な情勢が続いています。本事業は、インドシナ諸国の中でも民主主義への志向が強いカンボジアの国会議員に訪日の機会を提供し、立法府の機能とその中での議員の役割、国会運営のあり方など、議院内閣制に対する理解を促進すると同時に、日本の政界との関係強化を図ることを目的に、3年にわたり行われました。
03年7月の総選挙後、カンボジアでは連立政権樹立に向けての交渉が1年近く続きましたが、第1回の日本視察は、そのさなかの04年3月7~12日に行われました。
以降、第2回(05年1月16~21日)、第3回(06年1月22~30日)と、年1回の日本視察を3年間実施し、人民党、フンシンペック党、サム・レンシー党の3党から毎年7人、3年間で計21人のカンボジア下院議員を日本に招へいしました。これは、カンボジア下院議員の約6分の1にあたります。
視察団は、平沼赳夫日本カンボジア友好議員連盟会長、武部勤自民党幹事長、羽田孜民主党最高顧問をはじめとする政界の重鎮と面談しました。また、国立国会図書館、経済産業省、国土交通省など官公庁で意見交換を行ったほか、日本の議院内閣制に対する理解を促進するため、議員秘書、シンクタンクなどを訪問し、「予算編成の過程」「議員立法のあり方」「選挙制度と選挙運動のあり方」などに関する講義を受講しました。
また視察団は、帰国後、視察研修の成果を報告するため、毎年プノンペンでワークショップを開催しました。ワークショップには、日本視察に参加できなかった国会議員、政府関係者、学識経験者などが集まり、日本で学んだ諸制度がカンボジアでどの程度応用可能であるか、今後も同様の機会が提供されるならどのように活かすのがカンボジアのためになるのかなどについて議論を行いました。さらに、3年間の成果として、カンボジアの現状を加味した報告書『カンボジアの議会制民主主義のあり方とその運用について』が作成されました。
事業実施者 |
Cambodian Institute for Cooperation and Peace(カンボジア平和協力研究所/カンボジア)
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年数 |
3年継続事業の3年目(3/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
4,667,376円 |