小笠原諸島周辺の地質概説

  • 2020年05月18日

小笠原諸島は海洋地殻上に形成された島嶼で、南鳥島は太平洋プレート上に、他の島嶼はフィリピン海プレート上にある。聟島列島、父島列島、母島列島から構成される小笠原群島と火山(硫黄)列島は、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことによって形成された伊豆-小笠原弧上に位置している。伊豆-小笠原弧は延長約1,500km、幅約400kmの島弧-海溝系で、本州弧に匹敵する規模をもつ海洋性島弧である。小笠原海嶺、七島-硫黄島海嶺、西七島海嶺の3つの海嶺(海底の山脈)から構成され、小笠原群島は小笠原海嶺上に、火山列島は七島-硫黄島海嶺上に位置する。これらのうち、小笠原海嶺は古第三紀に活動した海底火山が隆起して海面上に現れたもので、七島-硫黄島海嶺は活火山が南北に並ぶ現在の火山フロントである(Ref.1)。

現在、伊豆小笠原弧では、島弧火成活動によって大陸地殻の平均化学組成を持つ安山岩質の中部地殻が形成されつつあり、海洋性島弧の成長過程で大陸地殻が生成されることが明らかとなってきた。大陸地殻の形成メカニズムを解明することは、地球の歴史を解明するために極めて重要であり、世界中から注目されている(Ref.2)。