事業概要
日印関係の重要性が広く認識されつつも、インド国内で日印関係に関わる諸課題を研究し、日本理解を深める場は限られている。こうした状況を踏まえ、当財団はフェーズI(2007年~2009年度)でインドにおける日本への関心を喚起するために、現代日本にかかわる研究や情報発信の拠点となるジャパン・チェアーの設置を支援した。3年間の活動を通じて、インドの知識層の間でジャパン・チェアーに対する認知度は高まりつつあるものの、両国間の政・官・界のパイプは未だ細く、トラックIIレベルでの知的交流やネットワークのさらなる拡大が求められている。
本事業は、フェーズIの成果を発展的に活用することにより、ジャパン・チェアーの活動を強化し、インド国内における日本理解の促進と日印両国の相互理解深化に寄与することを目指す。具体的には、日印関係を取り巻く諸課題に関する研究や関連情報の集積・発信を行うことにより、日印関係の研究・交流拠点としてのジャパン・チェアーの定着化を図る。また、対象地域を地方都市にも広げることで、幅広い層への情報発信を試みる。
実施計画
- 公開セミナー・円卓会議の開催:
- 公開セミナー:
日本から著名な有識者を講師として招へいし、関係当局、経済団体、研究機関の研究者ら約50名を対象とした公開セミナーをニューデリーおよびムンバイで開催する。
- 円卓会議:
駐印日本大使館などから日本人講師を招き、インド側の関係者30名程度を対象にニューデリーで円卓会議を開催する。
- 日本研究支援:
インド国内の大学・研究機関などを対象に研究事業を公募し、そのうち2件を支援する。当該研究者はインド国内での調査研究に加え、1週間程度の訪日調査を行う。
- 情報発信:
調査研究の成果は報告書やWeb siteを通じて積極的に発信する。
実施内容・事業成果
本事業は、助成先のインド国際経済関係研究評議会(ICRIER)を通じて、インド国内における現代日本の理解を促進し、日印間の相互理解の深化に寄与することを目的としています。
本年度は、2011年11月に「マンモハン・シン首相訪日後の日印関係」をテーマに、ネルー大学准教授やインド防衛問題研究所(IDSA)上席研究員を招き、ニューデリーで円卓会議を開催しました。また、2011年2月の開催した公開セミナーは、初の試みとして、地方都市のムンバイで「インド金融市場における日本企業―動向と展望」をテーマに開催し、約40名が参加しました。
以上のような活動を通じて、日印のシンクタンク、大学および民間企業との間で一層の協力関係が構築され、人的ネットワークが拡充に寄与することができました。

ムンバイでの公開セミナーの様子

取材に駆けつけた報道陣

セミナー終了後にインタビューを受ける講演者
事業実施者 |
インド国際経済関係研究評議会(ICRIER/インド)
|
年数 |
3年継続事業の1年目(1/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
2,858,080円 |