
事業の概要
笹川日中友好基金では、2011年より、中国共産党の各地方の宣伝担当の責任者たちを招へいし、日本を体験することによって、参加者たちの日本理解を深める事業を行っております。2年かけて、中国大陸の全31の省・市・自治区から責任者を招へいする予定です。その第一回の参加者たち20名が7月25日から来日することになりました。
背景
中国共産党は各省・市・自治区に、対外宣伝弁公室という下部組織を持っております。弁公室の責任者たちは、諸外国の情報の国民への提供や、海外に向けた中国各地方の情報の発信に深く関わっているほか、地方の党や政府の広報活動及び国際交流活動の企画と立案においても重要な役割を果たしています。しかし、従来このポストにある方たちは、立場や役職の制限から、日本との交流に直接参加する機会が少なく、日本理解も中国国内メディアの報道並びに政府の内部回覧資料に頼っている状態が続いてきました。
一方、笹川日中友好基金では、日中両国民の相互理解の促進を基金事業の最重要方針の一つとし、行政、防衛、教育研究、メディアなど各分野の関係者の招聘事業を展開してきましたが、中国共産党の地方の中堅幹部の招へいは今まで行ってきませんでした。この空白を埋め、中国共産党の宣伝担当の中堅幹部たち、引いては中国国民の日本理解を促進するために、笹川日中友好基金は2011年度から、中国各省・市・自治区の対外宣伝弁公室の責任者たちを日本に招へいする事業を行っています。等身大の日本を体験することによって、宣伝担当責任者たちの日本理解を促進し、これを通じて中国の一般国民の日本理解の深化に寄与したいと考えております。また、3月11日の東日本大震災後のこの時期に幹部たちを招へいすることによって、日本の魅力と安全性を中国国民にアピールすることも狙っています。
中国側の協力者
この招へいの目的を実現するために必要不可欠な条件が2つあります。第一は、人選です。各省・市・自治区の対外宣伝弁公室の中堅幹部たちが確実に参加者として人選されるかどうかの問題です。第二は、参加者たちの要望を反映しながら、等身大の日本を体験してもらうためのプログラムを提供してあげることです。笹川日中友好基金は、今般中国国内の二つの組織と協力することによって、これらの課題をうまく解決することを目指しました。
一つの協力者は、中国外文局です。1949年に発足した中国外文局は、中国共産党中央対外宣伝弁公室に直属する中国最大規模の海外に向けた出版機構です。毎年3000冊以上の書籍の翻訳、出版、30種類近くの定期刊行物の発行、30ほどのポータルサイトの運営を通じて、180以上の国及び地域に向けて発信しています。
もう一つの協力者は、人民中国雑誌社です。『人民中国』は、1953年に故周恩来総理の配慮のもと、新中国を紹介するために創刊された日本語総合月刊誌です。これまでに1万8000本余の記事と8万枚余の写真を通して、日本の読者に中国の文化と文明を紹介し、社会変革や経済・科学技術の発展、そして両国の協力や交流をリポートしてきました。中国政府公認の唯一の日本語広報誌として、各界各層の日本の方々と、中国国内の教育研究機関、日本語学習者及び日系企業の関係者に幅広く読まれております。
中国外文局と人民中国雑誌社は、まず人選面で全力を挙げて協力してくれました。両組織は、各省・市・自治区の対外宣伝弁公室と共に、中国共産党中央対外宣伝弁公室の傘下にあり、各地の対外宣伝弁公室とは同じ組織内の協力関係にあります。この利点を生かし、今回は東日本大地震発生後の厳しい状況の下、全国の14の省・市・自治区から対外宣伝担当の責任者を人選し、これに中国外文局と人民中国雑誌社の責任者や同行取材の記者を加え、総勢20名からなる訪日団を組織しました。
また、両組織は事業の企画・実施にも積極的に協力してくれました。今までの対日交流の豊富な経験とネットワークを生かし、笹川日中友好基金との共同作業を通じて交流のプログラムを作成し、交流先の連絡・手配に当たってきました。
このほか、中国外文局と人民中国雑誌社は、訪日交流の内容や成果を同誌上に特別コラムを開いて報道するほか、中国共産党中央外事宣伝弁公室の傘下にある他のメディアの協力を得て、広く日中両国民に向けて発信します。
事業計画
中国には、香港、マカオ、台湾を除き、31の省クラスの地方政府があります。この事業では、2011年にその半数、2012年に残りの半数の行政府の対外宣伝弁公室の責任者を招へいし、2年で全部の行政府から担当者を招く予定です。招へい期間は1週間程度です。「地方自治体の広報活動」をメインテーマに、次のような活動を行います。
・政治、経済、民間団体など各界のリーダーとの意見交換
・自治体の広報活動に関する説明会や意見交換会の開催
・報道機関の現場視察及び関係者との意見交換
・企業、農村、教育研究機関、民間団体などの現場視察
・史跡など文化サイトの視察
中国外文局、人民中国雑誌社の記者が同行取材します。交流の内容について、各種のメディアを通じて報道し、成果の周知に努めます。