事業紹介

2015年
事業

360 PM2.5対策日中共同研究

事業概要

ここ数年、中国で広範囲かつ高濃度で発生しているPM2.5(微小粒子状物質)の大気汚染は、日本国内にも一部が飛来しているとみられ、急性および慢性の呼吸器系疾患や循環器系疾患を引き起こすものとして、大きな関心をあつめています。しかし、PM2.5の大気汚染には今なお未知な部分が多く、特に近年中国華北地方で冬期にしばしば発生している高濃度の汚染については、その発生メカニズムが科学的に十分解明されていないため、中国政府としても科学的知見に基づく有効かつ現実的な対策がなされていません。


本事業では、日中両国民にとって大きな関心事のPM2.5問題について、当財団が日中両国の専門家からなる共同研究委員会を組織し、共同研究を行い、その緩和に必要な対策を日中両政府に提言するものです。


事業実施者 笹川平和財団 年数 2年継続事業の1年目(1/2)
形態 自主助成委託その他 事業費 3,718,630円
「中国PM2.5問題の実態と日中協力の可能性」 講演会を開催

公開セミナー「中国PM2.5問題の実態と日中協力の可能性」実施報告

ここ数年、中国で広範囲かつ高濃度で発生しているPM2.5(微小粒子状物質)の大気汚染は、日本国内にも一部が飛来しているとみられ、急性および慢性の呼吸器系疾患や循環器系疾患を引き起こすものとして、両国の国民および政府の大きな関心を呼んでいます。しかし、PM2.5の大気汚染には今なお未知な部分が多く、中国政府としても科学的知見に基づく有効かつ現実的な対策が採れていません。

笹川日中友好基金では、こうした中国のPM2.5大気汚染の原因を一部でも明らかにし、その緩和に必要な対策を提言することを通じて、両国の国民生活と関係の改善に貢献するため、この問題に関する中国の第一人者である賀克斌・清華大学環境学院院長らとともに、今年度から「PM2.5日中共同研究」事業を始めました。

さる2015年10月1日、そのキックオフとして、「中国PM2.5問題の実態と日中協力の可能性」と題して、下記の要領で、公開セミナーを開催しました。日本人にとっても決して単なる対岸の火事ではない中国のPM2.5問題について、最新の研究成果に基づく実態を聞いていただく機会として、当日は多くの聴衆の皆様に参加いただきました。

今後は、当面2年間、北京を中心とするエリアでのPM2.5観測分析をもとに、日本および中国で共同研究を進め、その緩和に必要な対策について提言をまとめる予定です。本共同研究の成果にもとづく対策提言については、日本および中国における公開セミナーや論文等で公表するほか、日中両政府に各種チャンネルを通じて提出していきます。

講演者

<賀克斌> 清華大学環境学院院長

1962年中国四川省成都生まれ。1990年に清華大学講師、1992年に同准教授、1996年より同教授。この間、ハーバード大学、デンマーク工科大学、リーズ大学にて客員教授。主な研究分野はPM2.5(微小粒子状物質)と大気複合汚染のコントロール。北京五輪、上海万博、広州アジア大会などで大気汚染対策を担当したほか、環境保護部や科学技術部など政府の審議会委員を多数歴任。ネイチャー誌はじめ国内外の有力学術誌で220編以上の論文を発表、うち140編以上が論文データベースSCIに収録。

<若松伸司> 愛媛大学農学部教授/>大気環境学会会長

1946年北海道生まれ。1970年北海道大学大学院工学研究科修士課程修了。1970年神奈川県公害センター(現:神奈川県環境科学センター)、1976年北海道大学工学部、1979年国立公害研究所(現:国立環境研究所)を経て、2006年より愛媛大学農学部。工学博士、技術士(応用理学)。

日 時: 2015年10月1日(木)10:00~11:50 (9:30受付開始)

会 場: 日本財団ビル2F大会議室 (東京都港区赤坂1-2-2)

(銀座線虎ノ門駅、あるいは溜池山王駅より徒歩5分)

言 語: 日本語・中国語同時通訳

次 第

10:00~10:05  主催者挨拶 

10:05~11:15  講  演

賀克斌 清華大学環境学院院長 

  「中国PM2.5汚染の現状と対策」 講演会資料(中国PM2.5汚染の現状と対策.pdf)

若松伸司 愛媛大学農学部教授/大気環境学会会長

「大気汚染にかかる日本の経験と日中協力の可能性」 講演会資料(大気汚染にかかる日本の経験と日中協力の可能性.pdf)

11:15~11:45  質疑応答

11:45~11:50  閉会の辞   賈棣鍔 中国青年国際人材交流センター副理事長

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講演会会場の様子

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講演会・質疑応答

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多くの方にご参加いただきました

「PM2.5対策日中共同研究」事業において中国研究者と共同解析を実施。

笹川日中友好基金では、中国のPM2.5大気汚染の原因を一部でも明らかにし、その緩和に必要な対策を提言することを通じて、両国の国民生活と関係の改善に貢献するため、この問題に関する中国の第一人者である賀克斌・清華大学環境学院院長らとともに、今年度から「PM2.5日中共同研究」事業を始めました。

この事業の一環として、今般、中国側(清華大学)の若手研究者2名を日本に招へいし、本事業協力先の大阪大学で1か月間、今夏北京で収集したPM2.5観測データの共同解析作業を開始しました。

本件受け入れ先:大阪大学基礎理学プロジェクト研究センター学際理学部門 豊田岐聡教授

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研究室での解析の様子

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