Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第94号(2004.07.05発行)

第94号(2004.07.05 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者(横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生新

◆しばらくぶりの特集号。第3回『世界水フォーラム』、国際海洋研究所(IOI)とSOF海洋政策研究所が共同開催したセッションのテーマを、そのまま特集号のテーマとして借用。近年、海と森、それを結ぶ川の連環が多くの人々の関心を呼んでいる。空が最後にあるのは、海水が蒸発して空に昇り、それが雨水となって森に降り注ぐという心で、「空...」の点は、ぐるりと回って森の上につながる。

◆畠山オピニオンは、森は海の恋人と言う美しい運動名でこの分野での活動をリードする氏の、子どもたちを対象とする啓蒙活動の紹介。本誌は67号で、北海道漁協女性部の植林活動を紹介する北崎オピニオンを掲載している。15年ほど前から、全国の漁業に従事する方々が山に目を向け、漁民主導の山の植樹活動が行われるようになった。それが着実に運動の輪を広げて、陸と海だけではなく、人の心の森をつくるところまできているという。本誌もそのような活動を支える場であり続けたい。

◆白山オピニオンは、このような運動を支える科学的認識を深める京都大学フィールド科学教育研究センターの研究活動の紹介である。河川におけるダム建設のさまざまな影響について、経験的あるいは直感的な議論が多くなされている。茶濁り、渋濁り、笹濁りなどの経験的知識がより深い科学的分析によって支えられ、それが多くの人の新たな行動に結びついていくことを期待したい。

◆桑垣オピニオンは、河川流域に住む人々と行政主体、事業者が一体となって、河川環境の改善とその成果の次世代への継承に取り組む「アジェンダ21桂川・相模川」の紹介。筆者も横浜住民として、相模川のさまざまな恩恵に預かる身。森、川、海の総合的な連環をより良いものにするために、これらのさまざまな運動に今後もエールを送り続けて行きたい。

◆「森川の水めぐり来ぬ夏の海」(谷原潤太郎)(了)

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