1969年 ECAFE報告書他

1969年5月、ECAFE(United Nations Economic Commission for Asia and the Far East国連アジア・東アジア経済委員会)は報告書を発表し、黄海と日本~台湾にかけての大陸棚の海底下には石油・ガスが溜まりやすい地形、および構造つまり断層や不整合面、背斜などの存在が確認され、新第三紀の厚い層には石油・ガスが含まれている可能性があることを公表した。(Ref.1) 本海域の特徴は堆積盆を分離する北東―南西成分を持つ海嶺の連続であり、これらの高まりによって黄河、および揚子江から供給された豊富な有機物を含んだ堆積物が閉じ込められたとしている。(Ref.1)

同報告では、最も石油と天然ガスが埋蔵されていると考えられる場所は、台湾の北東の20万平米の地域であり、堆積層は2kmを超え、台湾においては厚く、5kmの新第三紀層を含む9kmにも達する。これまでの陸上での掘削結果および露頭観察、探査記録より大陸棚の基底を構成する堆積物も新第三紀のものと思われる。日本、韓国、台湾において生産される石油と天然ガスの殆どは新第三紀の地層から採掘されている。予想される事は台湾-日本間の大陸棚には生産高の高い油田があるということである。また、世界的にも大きな大陸棚であるが、地質情報の欠如だけではなく、軍事的、政治的な要因により掘削調査が行われていない。(Ref.1)

二番目に石油・ガスが埋蔵されていると考えられる地域は、大きな3つの海盆がある黄海である。これらの海盆はお互いに繋がっているが、一つは韓国寄りで2つは中国本土に近い。海盆は1.5kmの堆積物に覆われており、探査記録よりこの堆積物に多くの有機物が含まれていると思われ、その密度は大陸棚の基底のものよりも高いと考えられる。今回の調査で黄海と大陸棚の基底に石油・ガスが溜まりやすい地形、つまり断層や不整合面、背斜などの存在が確認された。(Ref.1)

しかしながら小さな構造の形状と分布範囲を適切に描写するためには、堆積盆地内でさらなる詳細な音波探査が必要で、最終的にはこれらを確認するために掘削調査が重要であると報告された。(Ref.1)

その後、1970年に発表された論文(概要)では、1969年に実施された総理府委託の東海大学による調査結果を引用し、石油がガスの埋蔵を証明するに十分な情報が得られておらず、1970年の間に引き続き調査を実施すると報告されている。(Ref.2)


tit
Ref.1 :Geological Structure and Some Water Characteristics of the East China Sea and the Yellow Sea. (1969) CCOP Technical Bulletin Vol.2

Ref.2 :MARINE GEOLOGIC INVESTIGATIONS OF THE OFFSHORE AREA AROUND THE SENKAKU ISLANDS, SOUTHERN RYUKYU ISLANDS (Document CCOP | TAG(VI) | 32)(1970