小笠原諸島の植物分布については、1907年に報告がある。それによると、椰子、バナナ、鳳梨(パイナップル)などが実をつけており、いたるところにタコノキ、ビロウなどの熱帯植物がみられるという。また、海浜ではハマナタマメ、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、ツボクサ等が報告されている(Ref.1)。
現在では、ムニンヒメツバキ、アカテツ、シマホルトノキ、シャリンバイなど亜熱帯起源のものが多く、とりわけ東南アジア系が70%近くを占めている。また、ナガバキブシなど日本本土起源のものや、ノヤシなどオセアニア起源のものなど多様な起源の植物が定着している。多様な起源の種が独自の種分化をしたため、単位面積当たりの種数が多く、固有種率が高い。それぞれの島ごとに特異な植物相がみられるのが特徴で、わずか40kmの距離にある父島と母島でも島それぞれで固有種が存在する(Ref.2,3)。
父島や兄島の山頂緩斜面では、シマイスノキやムニンヒメツバキなど乾燥した気候に適した高さ5~8mの「乾性低木林」が分布しており、母島の石門など雲霧帯では、シマホルトノキやウドノキモクタチバナなど高さ20mにも及ぶ「湿性高木林」が分布している(Ref.2,3)。
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