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「第2回やしの実大学公開講座 in 八重山」(1998年12月)

基調講演1「琉球を出発してマラヨ・ポリネシアへ」
村武 精一(むらたけ せいいち) - 東京都立大学名誉教授 -
東京都立大学名誉教授、財団法人民族学振興会理事1928年生まれ。東京都立大学大学院、社会科学研究科博士過程中退。沖縄・東南アジア、アセアニアの民族学研究を30年以上フィールドを中心に行う。
平等的で長老を大事にするハワイ型親族呼称型社会

琉球地域は、一方では東アジアに、他方では東南アジアおよび太平洋諸地域と民族的にも文化的にも深い関わりあいをもっていて、すなわち、文化的要め石となっている。

こうした側面について我が専攻する社会人類学や民族学からみると、まず、近親者の呼びかけ名称のシステムにそれがあらわれている。 琉球文化および日本本土文化では、近親者の呼びかけ体系は、ある個人からみて、 父方近親者と母方近親者とを等しくあつかっている。両親のキョウダイはすべてオ ジとオバであり、その子供たちはすべてイトコと呼ぶ。これは琉球を中心にみた太平洋地域の大きな特徴である。これがもっと徹底化すると、オジ・オバもすべてチチ・ハハとよび、イトコたちをすべてキョウダイ名称でよんでしまう。これがいわゆる「ハワイ型親族呼称型」とよばれ、太平洋諸文化の基層の一つとなっている。

このような文化のもとでは、一つの系統にしたがって血縁集団が形成されがたい傾 向を生み出し、おなじ系統のもの同士では結婚できないという、いわゆる父系 または母系の外婚制の形成は弱い。いわば平等的な社会が育ち、しいていえば、 世代別による長老を大事にする社会が形成される。

こうした文化は、始祖からの一系的な系譜を重視する、いわゆる祖先崇拝の観念がうすいという特徴がある。 一系的な系統にもとずいた死者を敬うのではなく、死者すべての霊を尊敬 し、畏れる観念が発達する。つまり、死霊をすべて崇拝する死霊アニミズ ムの世界をつくりだす。人びとが日常生活はもちろん、儀礼生活においても、 すべて死霊の加護のもとにあるという考え方が支配的となる。琉球文化の特徴は、 生者や死者すべてに対して円滑な関係を保つために様々な手法を編み出してきたといえる。

普通我々の文化人類学では文化といえば非常に幅広くて「生の文化」例えば家族や地 域社会の日常生活、祭…。祭はまぁ豊かさを求めて、豊穣を求めての生です。 それに対して講演で触れることのできなかったもう一つの文化というのは、決して避けて通ることのできない死の文化です。一つの目安は死者、あるいは死の世界に対してどういう意識や態度を持っているかという、これを生の文化に対して死の文化といいますが…。(パネルディスカッション参照)
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