事業紹介

2010年
事業

ミクロネシア海洋保護区モデル構築のための総合的研究

事業実施者 笹川平和財団(日本) 年数 2年継続事業の1年目(1/2)
形態 自主助成委託その他 事業費 17,500,000円
事業内容
20世紀半ばから世界各地で環境保護への取組みがなされている。特に1980年代に、地球環境の変化に起因するとみられるサンゴ礁白化現象が顕著となったことを契機に、90年代以降、国連環境開発会議における「アジェンダ21行動計画」採択(92年)、第1回生物多様性条約締約国会議(CBD-COP1)開催(94年)および国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)発足(94年)など、国際的に海洋環境保護に対する政策レベルの対応が活発化している。 このような国際的動向に対応して、生物多様性に富むサンゴ礁生態系の保護、資源の持続的利用を図る海洋保護区の設定・ネットワーク化が、世界各地で進められている。太平洋島嶼国では、各国政府が援助国やNGOなどの協力を得ながら海洋環境保護に取り組んでいるが、保護区に関しては設定に至る過程、設定後の維持管理・利用などについて体系的な対応がなされるためには課題も多い。 本事業は、有識者による調査・分析と現地関係者との討議を基に、ミクロネシア地域において海洋保護区モデルを構築するための総合的研究を行う。最終報告書はミクロネシア地域をはじめ海洋保護区に関心を有する団体や機関に対して公表される。
実施計画
最終年度である本年度は第1年目の準備的研究とパラオでの現地調査を基に、「ミクロネシア海洋環境委員会」を継続的に開催すると共に、有識者による課題別現地調査を実施するなど海洋保護区モデル構築に向けた研究活動を行う。ミクロネシア地域の海洋保護区は、「欧米型」の生物多様性保護に重点が置かれているが、地域住民の生活や文化が水産資源に大きく依存している点を配慮し、本事業では資源の持続的利用を目的とする「アジア太平洋型」海洋保護区設定を検討する。本年度は最終年度として、研究成果を最終報告書にとりまとめる。 海洋環境委員会の開催(5回)(5回目は最終報告会) 第1回委員会(2011年5月頃開催):年間計画の確認、調査地域の選定などを行う。 第2回委員会(2011年7月頃開催):島嶼国の実務家8名程度を招へいし、ヒアリングを実施する。 第3回委員会(2011年9月頃開催):課題別現地調査の準備と最終報告に向けての調整。 第4回委員会(2012年1月頃開催):総合的検討と最終報告作成の準備。 最終報告会(2012年3月末):海洋環境関係機関などに成果を公開する。 現地調査(委員による調査2回、職員による調査4回) 委員による課題別の現地調査(2011年8月頃および11月頃:ミクロネシア地域)を2回実施、最終報告に向けての研究を行う。職員による調査を4回程度行い、基礎情報の収集活動、調整を行う。 最終報告書作成 第4回委員会を経て、2012年3月初旬までに海洋保護区モデルの構築に関する総合的研究成果を最終報告書にとりまとめる。成果は最終報告会で海洋環境関係機関などに公開される。
実施内容・事業成果
本年度は、まず2010年9月にミクロネシア海洋環境委員会を設置し、第1回委員会を開催しました。2011年1月9日~15日には、委員による現地調査をパラオ共和国で実施し、同国の海洋保護区の現状と課題を明らかにすることができました。2011年3月には、第2回委員会を開催し、パラオ共和国での現地調査をレビューしました。その結果、本事業で最終的に構築を図る保護区モデルの方向性は、集水域・マングローブ・海草帯・サンゴ礁を含めた総合的なものにすることが確認されました。また、海洋保護区を全面禁漁とするのではなく、現地住民が海洋資源を持続的に利用できる方式を検討していくことになりました。
ページトップ