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No.0043(2017年02月16日)

開放政策による難民受入れ大国トルコ
日本との友好関係が鍵となる
バハドゥル・ペリヴァントルク准教授インタビュー

西洋と東洋の境に位置し、歴史的に様々な文化や価値観を許容し吸収してきたトルコ。現在、その開放政策「オープンドア・ポリシー」によって多くの移民や難民を受け入れ、国際的に重要な役割を果たしていますが、国内ではテロやクーデターなどの問題が多発しています。今回は、国際政治が専門であるバハドゥル・ペリヴァントルク准教授をお招きし、トルコの「今」と「これから」について、日本との関係にも触れながらお話しいただきました。

インタビュー要約:

―トルコは開放政策を通じて莫大な人数の移民を受け入れてきましたね?

シリアとイラクからトルコに流入した人々は、300万人に上ります。100万人でもヨーロッパであれだけの問題が起きているのですから、トルコの300万人は、もはや人口変動と言えるでしょう。社会の大部分が移民の受け入れには好意的ですが、数があまりに多く、国家の重荷となっています。そのため国内では一部、政府の移民政策に批判の声が出ています。一方、国際的には、難民救済の貢献で高く評価されています。いずれにせよ、「オープンドア」政策は今後も続きます。トルコとシリアは800キロメートルの国境を共有しているので、人々が必死になって流入し始めたら、国境閉鎖というのは実際無理だからです。

―経済・テロ・難民などの諸問題により、現在トルコの政治や社会情勢は不安定だという見方が一般的ですが?

トルコは、今までも多くの問題に向き合ってきましたが、事態は激化しています。国民への心理的インパクトも大きいですが、彼らはこれらの問題に対峙し結束を強めています。経済はまだ安定していますが、問題も山積みです。今、トルコにとって、友好国と良い関係を持つことは、重要というより死活問題です。しかし、ヨーロッパとも、アメリカとも、関係がうまくいっているとは言えません。「アラブの春」の影響で中東とも緊張関係にあります。ただ、日本とは歴史的にも外交的にも良好な関係を築いて来たので、良きパートナーになれると思います。色々な事件が起こったことにより、落ち着かない空気もありますが、他の中東の国々に比べれば、まだ安定していると言えますし、日本との良好な関係はトルコをより安定させると思います。

―「地中海と黒海における安全保障問題と反応」と題し発表されましたが強調したかったことは何ですか?

安全な暮らしを求めヨーロッパに向かった普通の人々が、移動途中で命を落としています。安全保障、海上保安などを考える際、もっと「人道的安全保障」に目を向けるべきです。安全保障とは、移民を阻止することではなく、海において彼らの命を守ることです。人身密輸者たちが、利益を求めて人間を密輸し、それによって、2015年には300人もの人々が亡くなっています。一方、「伝統的安全保障」に関しての問題もあります。地中海で何が起こっているのか?なぜ、ロシアはシリアにそんなに干渉するのか?ロシアや中国は、全く違う視点で、地政学的、経済的に自国の安全保障を重視して行動しています。世界の国々はそれぞれ違った価値観で動いているということを話したかったのです。

―笹川平和財団には、今後どのような役割を期待していますか?

非営利で政治的制約のない組織が通常の政治を飛び越えていくことに大きな価値を見出しています。現在、世界中で分極化が進んでいます。理論上、この世界は無秩序状態にあります。私は国際政治学が専門で、その観点から言えば、世界政府はなく、まとめ役がいないのです。多くの国々がしのぎを削り、安全保障の問題は大きくなるばかりです。ですから、国連のような政府間をつなぐ機関や、SPFのような組織やNGOが非常に重要な役割を果たすでしょう。

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以下の映像で、バハドゥル・ペリヴァントルク准教授のインタビュー全編をご覧ください!

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