No.0011

2014年06月06日

"コウセン" がモンゴル発展支援にひと役 「モンゴルへの日本式高専教育導入」

技術者不足の解消に、日本式高専教育の導入を

経済成長が著しいモンゴルでは、首都ウランバートルなど都市部ではビルや橋梁の建設ラッシュが続いています。しかし国内は、ものをつくる技能を持つ人材不足で、中国や韓国、北朝鮮からの技術者によってまかなわれており、必要とされている人材の育成が急務とされています。
この技術的な労働力の不足を解決するためにはどうすればいいか? モンゴルの文部科学大臣であるガントゥムル氏が、日本の仙台電波工業高等専門学校(現・仙台高等専門学校)出身であるということも手伝い、注目されたのが日本の高等専門学校(コウセン)でした。実践的技術者養成システムとして国際的に評価の高い高等専門学校は、ものをつくることができる人材を必要としているモンゴルにとって実に有益と判断。「モンゴルへの日本式高専教育導入」は、単年度の事業として2013 年10 月にスタートしました。

初めてのモデルクラスが大きな期待とともにスタート

初めての日本式高専教育モデルクラスが導入されることになったのは、モンゴル工業技術大学(IET)。成績上位者から選抜された約30 名の学生によって編成されました。しかし、入学時に高等専門学校のクラスとなるとは説明していなかったため、まずは学生の保護者を集めた説明会を開きました。反対の声もあると覚悟していましたが、むしろ歓迎され日本式の教育への大きな期待を実感。それまで遅刻や欠席が目立った学生も、コウセンのクラスには、毎日まじめに出席するようになりました。日本からは、工業技術の基本である土木・建築・溶接の分野から3 人の高専教育専門家を約3 週間派遣。苫小牧高専卒業の高田正志氏が立体地図作りを、田中伸幸氏がコンクリートのスランプ試験や圧縮試験などの実技指導を行いました。日本エンドタブ協会理事の小菅瞳氏は、アーク手溶接など、具体的な手法を一から指導。また、技能ボランティア海外派遣協会(NISVA)から派遣された教授らと連携し、学生への理論教育にも力を入れ、モンゴルの教職員に対しての教授法、実験実習法などの指導も行っています。

モンゴル人の手で自国を発展させられる日を楽しみに

この日本式高専教育はモンゴル国内で大きな反響を呼び、現地の新聞や国営テレビでも特集として取り上げられ、"コウセン" という言葉は徐々に定着しつつあります。今年2 月に埼玉県で行われた溶接技術競技会では、モデルクラスで教育を受けたモンゴル人の学生がオープン参加し、10 位以内となる成績を残すなど短期間で成果をあらわし始めました。
高専教育のためのモンゴル国内法の改正があったことに加え、本事業を通じた高専教育の有効性を認めたことから、IET は新たに高専教育専門の高校を設立し、2014 年9 月から3 クラスの新入生を募集することを決定。さらにモンゴル文部科学大臣は、IET のほかに2 つの高専教育専門の高校の設置を表明しました。こうして、事業の継続性を確認できたことから、SPF は新たに2014 年度から3 年間にわたり、本格的に事業を開始することを決定しました。
豊富な地下資源を背景に今後のさらなる成長が見込まれるモンゴル。日本式高専教育によって育成された人材が活躍する場は無限大といえます。長年にわたって地道な交流を続けてきた事業担当者は、モンゴルが、モンゴル人自身の手でコウセンを定着させ、卒業生たちが自国の開発を進められる日を心待ちにしています。

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