No.0006

2014年03月31日

日本の経験を、アジア諸国の繁栄につなげる 「アジア諸国との国会議員交流」

日本の政策が、アジア諸国に活かされることを目指して

 訪日の機会の少ないアジア諸国の国会議員に焦点を当て、2009 年から5 年間「アジア諸国との国会議員交流」 プログラムを実施。これまで主にカンボジアとモンゴルから、超党派を条件に一回に5 ~ 6 名ほどの国会議員 を招へいしてきました。

 カンボジアは、一人当たりGDP が1,000 ドルに満たない後発発展途上国の一つで、内戦や経済不安などから成長が阻害されてきた国です。内戦終了後、国際機関や近隣先進国が開発支援を本格化していたことから、SPFでも何らかのサポートを行いたいと考えていたところでした。モンゴルとは、今までの事業を通じて築き上げた緊密な関係がありましたが、継続的な国会議員交流としては新たな開拓領域となりました。

 日本の政策を学び自国の将来に役立ててもらおうという狙いのもと、農業や教育、エネルギー問題など、それぞれの国において必要とされる課題を設定。日本の政・財・官の有識者との意見交換や、特定のテーマに沿った視察など様々なプログラムを組んでいます。

 帰国後は各国政府議長に提言を含んだ報告書を提出し、関係省庁を集めて報告会をするなど積極的なフィードバックも行われてきました。参加メンバーには、次世代のリーダーにふさわしい実力のある議員が選定されており、既参加者からは、副首相(カンボジア)や鉱物資源大臣(モンゴル)を輩出しています。

それぞれの国が抱える、切実な課題に応じて対応

 カンボジアは内戦終結から20 年が経過し、今でこそ経済も成長過程に入っていますが、過去にポルポト政権の統治によって大多数の知識人層を失った影響で、優秀な人材の育成が大きな課題となっています。国内の大学には教育学部が設置されておらず、設立が急務とされていました。そこで、教育を課題とした招へいプログラムでは、広島大学教育学部の教員養成課程について説明を受け質疑応答を行った後、カンボジアからの留学生との懇談会を行いました。

 また、国内の社会インフラの整備には未だ課題が多いのが実情で、特に発電規模は小さく、送電や配電網の整備も貧弱で、国内の世帯電化率は20.1%(2009 年)にとどまっています。そのため、カンボジア国会議員 団から日本の電力の安定供給のしくみや、新エネルギーについて学びたいとの要望を受け、発電を主なテーマ として視察も行われました。

 2014 年には、イオングループがカンボジアに初出店するのを受け、レイクタウン(越谷市)の視察なども行われています。

 モンゴルに関しても、大気汚染や交通渋滞などが大きな問題となっているため、環境保全に配慮した経済発展が求められています。そこで、「環境に配慮した都市開発」に焦点を当てたプログラムを組むなど、それぞれの国が抱える課題に柔軟に対応してきました。

日本での失敗例も取り上げ、同じ轍は踏まぬよう手引きも

 このプログラムの特長のひとつとして、日本だからこそ教示できる反面教師的なレクチャーが挙げられます。先に紹介したモンゴルの「環境に配慮した都市開発」では、モンゴル都心部での石炭の使用による公害について、日本の事例とともに考えました。また、「ゆとり教育」の弊害にも焦点を当て、日本の失敗例を振り返り、自国にとって最良な選択は何かを考えるきっかけを与え、同じ轍を踏まないよう導いています。

 「アジア諸国との国会議員交流」は2013 年度で終了となりましたが、今後はアジア諸国のオピニオンリーダーの招へいや、アジアにおける先進国であるシンガポールやフィリピンなどとの交流、日本と他国との比較プログラムなどの構想があります。
交流プログラムは即座に結果が反映され、何らかの効果が出るというものではありませんが、その活動の中で 築かれた人脈が、他の事業など場所を変え次へと活かされていくことが期待できます。これまでに交流したア ジア諸国の方々とのつながりが、今後どのような新事業に展開していくのかが楽しみです。

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