笹川平和財団では、このたび「米国との交流事業」の一環として「日本の戦略的水平線の拡大と日米対話」事業の最終成果報告書を発表しました。
このプロジェクトでは、日本人若手研究者5名からなる研究会(主査:森聡 法政大学教授)を中心として、2009年から2年間にわたり中・長期的将来を見据えた日本の国家安全保障戦略について調査・研究を行い、日米を中心に数多くの専門家のご協力を得て、このたび報告書を完成させました。
日本を取り巻く国際環境は、新興国へのパワー・シフトとグローバル化の波の中でめまぐるしく変化しています。しかし、日本には政治の混迷、財政上の問題等による国内的な制約があり、アメリカも類似の難題に直面しています。それでは、日本は長期的な視野から、いかなる国家安全保障戦略を描き、国益を守るべきなのでしょうか。本プロジェクトでは、①日本の利益の所在の地理的広がりを再確認し(死活圏、戦略的水平線という2層を設定します)、②その利益に対して想定され得る挑戦をシナリオ・ベースで検討し、国益へのインパクトの大きさという観点から対処すべき課題に優先順位をつけ、③防衛、日米同盟をはじめとする第三国との安保協力、外交・国際協力をいかに組み合わせて対処すべきかを提言しています。そしてその中で、防衛面での努力に加え、新興国と先進国との間でルールの共有や規範形成をできる限り推進して、国際システムに少しでも正統な秩序をもたらしうる取り組みを展開する、日本の新しい国家安全保障戦略を浮かび上がらせています。
本報告書はプロジェクトホームページよりダウンロードしていただけます。⇒
https://www.spf.org/horizon/