事業紹介

2010年
事業

ミクロネシア医療関係者交流

事業実施者 笹川平和財団(日本) 年数 1年継続事業の1年目(1/1)
形態 自主助成委託その他 事業費 13,214,592円
事業概要
ミクロネシア連邦は広大な海域に600以上の島々から構成される島嶼国であり、12万人に及ぶ国民は65の島で暮らしている。しかしながら同国においては、医師、看護師、医療技術者、ヘルス・アシスタント(HA)などの医療職従事者があらゆるレベルで慢性的な不足状況にあり、国民にあまねく医療サービスを提供することは大きな課題となっている。事業立ち上げに先立って当基金が行った調査において、既存の支援の枠組みを総覧・検討した結果、離島のコミュニティーにおけるプライマリケアの担い手であるHAがその重要性に比して、医療技術を向上し、モチベーションを高揚する機会が限られていることが判明した。この調査結果を踏まえて、本事業ではHAを対象に以下の支援を行う。 まず地域医療にかかわる知見を有する日本の医療機関にHAを招へいする。あわせて日本の医療人材を同国に派遣し、フィールド活動を通じて、コミュニティーの医学知識の向上を図るとともに、地域医療への貢献のあり方を考える。なお、本事業は海洋性国家支援資金によって実施するものである。
実施計画
単年度事業として本年度実施する活動は以下に示す通り。 日本からの医療人材の派遣(2010年8月/1週間/於ポナペ島) 国内の医療機関の地域医療研究者グループ10名をミクロネシア連邦の診療所に1週間にわたり派遣し、コミュニティレベルで啓蒙活動をはじめとするフィールドワークを行う。 ミクロネシア連邦保健大臣の招へい(2010年7月/10日間/於東京、京都) ミクロネシア連邦のスキリング保健大臣を日本に招へいする。訪日中は西太平洋地区医学教育連盟(AMEWPR)と共催でシンポジウムを開催するほか、厚生労働省、外務省への表敬訪問、東京女子医科大学などの医療機関、島津製作所などへの企業視察も予定している。なお、シンポジウム開催の一部業務を医療専門機関に委託する。 ミクロネシア連邦ヘルス・アシスタントの招へい(2011年2月/7日間/於沖縄) ミクロネシア短期大学のヘルス・アシスタントコースの受講生10名を日本に招へいする。日本滞在中に大学関係者と合同研修を受講するほか、医療従事者との意見交換、大学生との交流を行う。
実施内容・事業成果
本事業では、ミクロネシア連邦(FSM)を対象に、日本(一部はタイ)から医療人材を派遣して離島コミュニティの医学知識向上を図るとともに、FSMから医療人材を日本へ招へいし、両国の相互理解を促進しました。本事業を通じて、主に以下の3つの活動が行われました。 第1に、2010年7月26日から8月4日にかけて、FSMのヴィタ・スキリング保健社会保障大臣を日本に招へいしました。滞在中、スキリング大臣は外務省への表敬訪問や医療機器メーカーの視察を行ったほか、西太平洋地区医学教育連盟(AMEWPR)主催のシンポジウムで基調講演を行いました。第2に、2010年12月11日から20日にかけて、ミクロネシア短期大学の学生8名を沖縄県に招へいし、医介補の歴史について琉球大学保健学部の学生と合同勉強会を開催しました。また名桜大学およびコンケン大学(タイ)の協力を得て、名護市の村落でインタビュー調査を実施しました。第3に、2011年3月6日から14日にかけて、東京女子医科大学および三重大学医学部の学生12名(引率教員含む)をミクロネシア連邦ポンペイ州の診療所へ派遣し、ミクロネシア短期大学(沖縄県を訪問した学生が参加)と共同で現地のコミュニティ・ニーズ・アセスメント(地域保健について現場で最も必要とされる島民医療に関わる情報を抽出する調査)を行いました。本調査を通じて、ミクロネシアの医療者教育に必要な要件を明確化することに貢献できました。
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