事業紹介

2010年
事業

ラオス経済調査能力強化

事業概要
ラオスは農業を中心とした第一次産業国であるが、近年は鉱物資源等の輸出や海外からの投資などにより経済開発が進みつつある。また、メコン河流域諸国をまたがるインフラ整備が進行する中で、貿易の中継点としても新たな開発の可能性を秘めている。このような状況の中で、ラオス国立経済研究所は経済観測調査を効果的に実施し、政府に対し経済政策策定のための基礎資料を定期的に提供していくことが期待されているが、現在は調査に必要な知識・技術・人材が不足している。

本事業では、日本およびASEAN諸国の専門家の指導の下で、ラオス国立経済研究所が中心となって短期経済予測に必要な指標開発や調査方法の策定(データ収集を含む)を支援する。また国内研修や海外視察(日本、ASEAN諸国など)を通じて関係者の調査能力向上に努める。四半期ごとに収集したデータとその分析結果は、関係省庁や研究機関を対象に実施する報告会で共有する。
実施計画
  • 調査・研究活動(10月~2011年3月):
    日本、マレーシア、ベトナムなどの専門家の指導の下、以下の調査研究を行う。
    • 政策課題調査:四半期ごとに設定した政策課題について調査し、その結果を四半期ごとに発行する経済レポートに掲載する。
    • 短期経済指標調査:輸出と雇用の指標の開発や調査方法の設定(10月~12月)を行った後、調査地を選定し、調査員の研修を経て実際の調査を開始する。収集したデータはラオス国立経済研究所が集積・分析する。
    • 基礎研究:長期経済観測手法や予測モデル開発にかかわる基礎研究を行う。本年度は特に方法論や枠組み設定の仕方について研究する。
  • 国内研修の実施・フォーラムの開催(12月)
    • 国内研修:海外専門家の指導の下、上記1の調査を行うための研修を約1ヶ月にわたって実施する。
    • 公開フォーラム:本事業を通じて開発した指標を検討するために、関係省庁・機関の職員を招き公開フォーラムを開催する。
  • 海外視察(2011年2月、日本)
    • 参加者:省庁関係者、担当者8名程度を選出
    • 期間:10日程度
    • 内容:中央銀行、政府機関、研究所などを訪問し、経済政策策定に関わる経験を学ぶ。
事業結果・成果
本事業はラオスにおける経済調査を担う人材の能力向上を目指し、四半期経済観測調査の実施や指標の開発、日本などへの視察研修を行っています。ラオス国立経済研究所が中心となり、統計局、中央銀行などラオス国内の関係機関が横断的に協力しながら、日本、マレーシアの専門家の支援を得て事業推進を図っています。
 
本年度は、貿易と雇用の動向調査を実施しました。具体的には、勉強会やワークショップ(2010年12月13日~15日、於ビエンチャン)で基礎的な調査方法について学習しました。その後、対象地域の選定、標本抽出、調査票の作成、調査員に対する研修(2011年2月16日~3月11日で3回)を行い、6地域を抽出し、企業(計500社)と家計(計300世帯)へのインタビュー調査を実施しました。分析結果はセミナー、四半期経済報告書(4月号)で公表されました。

また、日本人専門家の支援を得て経済予測ツールの構築に係る基礎研究を行いました。その結果、予測モデルの基本形が作成され、次年度以降の試行運用に向けて準備が進められました。訪日研修(2011年1月19日~26日、於東京)では、内閣府総合経済研究所、総務省統計局、東京大学、日本経済研究センターなどで日本の経済観測システムについて学びました。
 

事業実施者 ラオス国立経済研究所(ラオス) 年数 3年継続事業の1年目(1/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 5,676,405円