事業概要
1991年の和平合意以降、カンボジアでは着実に自由かつ安定的に民主主義の制度化が図られている。一方、中央および地方行政官の政策立案・実施能力には課題が多く、行政改革を進める上で公務員の能力向上が必要である。本事業は、カンボジア政府の中堅行政公務員や政府関係の研究公務員を対象に、政策決定過程での能力向上を図ることにより、円滑な行財政運営を可能にすることを目的とする。研修内容については、 PCM(Project Cycle Management)手法など具体的な政策運営に役立つテーマを予定している。
実施計画
3年事業の初年度として、以下の活動を行う。
- 教材検討委員会の開催(年4回、プノンペン)
CAR(行政改革評議会)などのカンボジア関係者、日本やシンガポールなどの専門家10名程度により、現行教材の改善点、具体的なケース事例、ワークショップで扱うテーマ等に関する協議を行う。また、最終年度に公務員研修テキストの改訂とケース教材の作成を行うための準備を進める。
- ワークショップの開催(年3回、プノンペン)
CARの中堅公務員や高等教育機関の講師など約40名を対象にワークショップを開催する。
(1)PCM(Project Cycle Management)手法を活用した政策形成および運営、(2)ケース教材による具体的な事例紹介方法、(3)カンボジアのマクロ経済の安定をテーマに取り上げる。講師陣は、井上久生太平洋人材交流センターシニアコースリーダー、稲継裕昭早稲田大学大学院教授、山本尚史国際教養大学准教授を中心に、日本、シンガポール、マレーシア、インドなどからの専門家が担当する。
- 調査および調整(事務局活動費)
上記諸活動に関する調整とモニタリングを行う。
実施内容
・7月27日~30日にプノンペンにおいて、CAR(Council for Administrative Reform)との協力の下、現地の中堅公務員など約60名を対象に、能力向上のためのワークショップを開催しました。
ワークショップでは、前半をPCM(Project Cycle Management)手法、後半をCase Development Approachをテーマとして、日本やシンガポールの講師が講義を行い、参加者への知識や手法の伝達に努めました。11月中旬には、第2回目のワークショップが開催される予定です。
事業結果・成果
本事業は、カンボジア政府の中堅公務員を対象に、行政運営上、実用的な手法を習得するための場を提供し、能力向上を目指すものです。
本年度は、日本とシンガポールの専門家が、プロジェクト・サイクル・マネジメント手法などに関するワークショップをプノンペンで3回(2010年7月27日~30日、11月16日~19日、2011年2月14日~17日)実施しました。関係省庁の部課長クラス計87名が参加しました。また、カンボジア側の自主的な提案により、行政運営に係る複数の課題を取り上げ、事例集としてまとめました。審査を経て10の事例が、英語とクメール語で出版されます。
研修、ワークショップに参加した中堅公務員はプロジェクト・サイクル・マネジメント手法や情報整理方法などについて習熟することができました。その結果、最終回のワークショップではプロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)を作成しました。
また、本事業で作成された事例集は、同国の行政事情を的確に反映した実用かつ希少価値の高い教材として広く活用されることが期待されます。
プノンペンで開催されたワークショップの様子
KJ法を用いて課題抽出をしているところ
事業実施者 |
笹川平和財団
行政改革評議会(CAR;Council for Administrative Reform/カンボジア)
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年数 |
3年継続事業の1年目(1/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
10,748,459円 |