事業紹介

2012年
事業

ミャンマー組織マネジメント向上

事業概要
2011年3月に発足したティン・セイン政権は、ミャンマーを真に国際社会に対して開かれた国家に変容させることを目指している。そのためには、国家を担う優秀な人材の育成が必要となる。効果的かつ効率的に人材を活用し、行政機関が有効に機能するためには、組織マネジメントの能力向上が必要である。笹川平和財団は、こうしたミャンマーのニーズに先駆けて、2009年度から3年間にわたり、同国の公務員の能力向上を目的とする事業を実施した。首都ネピドーでのワークショップの開催、日本やインドなどへの視察を通じて、同国公務員の知識と経験を深めることに寄与した。
新規の本事業では、組織マネジメントの能力向上を柱として、各中央省庁の局長級15名を対象としたマネジメントに関する一般的な研修および専門分野別の研修を実施する。同様に中堅幹部(部課長)60名を対象にしたワークショップを開催する。また、ASEAN行政官研修会議への連邦公務院(UCSB: Union Civil Service Board)職員3名を派遣するとともに、日本への視察研修団を派遣し、組織マネジメント、議会制度などの先進事例を学ぶ。
実施計画
3年継続事業の初年度にあたる本年度は、以下の活動を行う。
  • 組織マネジメント強化(ミャンマー連邦公務院への委託)
    • 幹部研修(5日間、年1回、於ネピドー)
      工業省と商業省の局長級15名を対象に、リーダーシップ、組織行動論、プレゼンテーションなどに関する講義や、外国直接資本、投資環境の整備についての課題・専門分野別の研修を行う。
    • 中堅公務員対象のワークショップ開催(5日間、年1回、於ネピドー)
      中央省庁の部課長60名を対象に組織マネジメントなどをテーマにしたワークショップを開催する。
    • ACCSM(ASEAN行政官研修会議)への連邦公務院職員の派遣(5日間、年2回、於ASEAN各国)
    • 視察研修団の派遣。(1週間、年1回、於日本)
      組織マネジメント、行政・議会制度など先進的な事例を学ぶために、日本へ視察研修団を派遣する。日本での視察研修の受け入れは太平洋人材交流センターへ委託する。
    • 視察研修団の報告会の開催(1日、年1回、於ネピドー)
      視察研修に関する報告会を開催し、参加できなかった職員との情報共有を行う。
  • 調整およびモニタリング
    事業を効率的に運営するための調整およびモニタリングを行う。
事業成果
中堅公務員対象のワークショップ開催
2012年7月23日から27日まで、ミャンマーの首都ネピドーで組織マネジメント向上を目的としたワークショップを開催しました。各中央省庁から部課長級幹部職員60名が参加し、日本とシンガポールの講師からリーダーシップや業績評価など組織マネジメントについて学びました。質疑応答の時間には、国家の発展とリーダーシップの関係などについて活発な議論が行われ、参加者は組織マネジメントに関する知識を深めることができました。
「組織マネジメント」に関する講義

「組織マネジメント」に関する講義

 
ミャンマー連邦公務院長の来日
2012年8月19日から23日までミャンマー連邦公務院(UCSB)のチョー・トゥー院長ほか2名が訪日しました。これは、2012年10月29日から11月2日まで予定している視察研修団の訪日に向けて、視察先の事前選定を行うことを主な目的にしています。視察先として、人事院公務員研修所、日本生産性本部、東京都人事委員会、関西経済連合会など組織マネジメントに関する機関を訪問しました。
日本生産性本部の訪問

日本生産性本部の訪問

 
●視察研修団の訪日
2012年10月29日から11月2日まで、ミャンマー連邦公務院の団長1名と各中央省庁から部課長級の職員15名が訪日し、東京、神奈川、大阪の組織マネジメント関連組織や施設を訪問しました。東京では人事院や東京都人事委員会など、神奈川では生産性国際交流センター、大阪では松下幸之助歴史館を訪問し、中央・地方政府や企業の組織マネジメントについての理解を深めました。初めて訪日したある団員は「様々な場面の組織マネジメントを学ぶことができて大変参考になった。どこに行っても清潔かつ整理整頓がされており、非常に印象に残った」とコメントしていました。
 
生産性国際交流センターでの講義

生産性国際交流センターでの講義

 
松下幸之助歴史館への訪問

松下幸之助歴史館への訪問

 
●組織マネージメント向上のためのワークショップ開催
ミャンマーの首都ネピドーにおいて、2013年1月28日から5日間の日程で、局長級幹部公務員を対象としたワークショップが開催され、財務省、ミャンマー中央銀行、貿易商務省などから15名が参加しました。今回は、リーダーシップなどの組織マネージメント全般に関する能力向上に加え、戦後の日本の経済発展やミャンマーの現状を踏まえた上で、ミャンマーの今後の経済発展を展望する講義が行われました。特にミャンマーが貿易を拡大するにあたり、その弊害となるものは何かという実践的な課題については、法整備、政策立案、インフラ整備の観点から活発な質疑応答がなされました。
 
 
 
 

事業実施者 笹川平和財団 年数 3年継続事業の1年目(1/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 13,750,787円