事業紹介

2010年
事業

アジアの再生:東南アジア次世代指導者育成

事業概要
ASEANの先発国は優れたリーダーシップの下、他に例をみない高度成長と社会の安定・発展を達成した。この地域がさらに発展するためには、政治・経済・社会面での諸制度の質的向上や外部環境の変化に適切に対応する柔軟性が求められており、特に新時代を牽引する次世代指導者の育成が必要である。本事業は、日本、ASEAN、欧米諸国の有識者と現役政治家の協力を得て、東南アジアの次世代指導者の育成を支援することを目的とする。具体的には、議会制民主主義の定着している域内諸国から、有能な若手人材を選抜し、ワークショップ開催などを通じて学習機会の場を提供する。
実施計画
5年事業の最終年度にあたる本年度は、以下の活動を実施する。

  • 調整会議(於プノンペン):
    アンワール・イブラヒム氏を中心に、スクンバン・パリバトラ王子らが研修プログラム作成や講師選定を行う。参加者25名を選抜するにあたり、経歴、英語能力、年齢等を基準に推薦と公募にて行う。本年度は、マレーシア7名、カンボジア7名、タイ4名、フィリピン4名、インドネシア3名を選抜する予定。
  • ワークショップ(WS)開催:
    • 参加者の選定後、参考文献を指定する。本年度は「アジアン・ルネッサンス/アンワール・イブラヒム」、「コスモポリタニズム/クワネ・アパイア」の精読を義務付ける。
    • WS開催(プノンペン) 
      WSでは1日2回、7日間の講義を実施する。講義は、a)アジア再生と思想の力(A.イブラヒム/元マレーシア副首相)、b)アジア的思想と価値(K.ジャーファル/政策研究所所長)、c)超国家としてのASEAN(フン・セン/カンボジア首相)、d)多様性における統一(デヴィ・フォトゥナ・アンワール/前インドネシア大統領候補)、e)コンセンサスの形成:橋梁の構築(サレフディン・ハシム/前マレーシア人民正義党幹事長)を予定する。またフォローアップ活動として、本事業の参加者間でネットワークを維持するために、Web siteを立上げる。
実施内容
 
事業結果・成果
本事業は、ASEANの有識者や政治指導者らの協力を得て、ASEANの有望な若手人材を対象に基礎的教養の学習の機会を提供することで、次世代指導者を育成することを目的としています。

5年間の事業期間中、毎年、ワークショップの開催に向けて、参加者の公募による選定作業、開催地の選定などの準備が行われました。

各年度のワークショップは、約7日間の日程でマレーシア・テレンガヌ(2007年1月)、同コタキナバル(07年12月)、インドネシア(08年11月)、フィリピン(2010年1月)、カンボジア(2011年2月)で開催されました。ワークショップでは、J.T.アルモンテ元フィリピン大統領安全保障顧問による「ピープルパワー革命とその思想」、アンワール・イブラヒム元マレーシア副首相の「アジアの再生と第四の民主化の波」、カンボジアのシソワット・シリラス王子による「カンボジアの歴史:悲劇から希望へ」などの講義が行われ、活発に討議されました。

本事業を通して、ASEAN諸国の123名の参加者に高い教養知識を習得する機会が提供され、重要課題について意識を共有するとともに、人的ネットワークが構築されました。このネットワークの中には、マレーシアのセランゴール州議会議員のアミルディン・サアリ氏、マレーシア国会議員のユスマンディ・ユスフ氏、マレーシア・アワニ・ニュース局政治アナリストのN.アミン・アマド氏などが含まれており、今後のさらなる活躍が期待されます。

事業実施者 マレーシア政策研究所(マレーシア) 年数 5年継続事業の5年目(5/5)
形態 自主助成委託その他 事業費 9,916,192円