事業紹介

2003年
事業

239 中国における公益事業評価システムの構築

事業内容
中国では、実力をつけた民間非営利組織が増える一方で、旧態依然とした団体も存在しています。民間組織の能力評価は、組織のキャパシティ・ビルディングに有効であり、また社会サービスの民間へのシフトを推進したい政府にとっても重要な問題となっています。本事業は、中国における非営利組織評価基準の作成を目的としています。
2001、02年度は、主に基礎調査、初歩的な基準作成、実験的評価を行いました。この成果は、広東省民政局が行う社会団体の年次検査に応用されるなど、行政部門での本事業への関心を高めました。また、日本大使館、国際機関、海外団体からの事業評価委託が増加したことにより、実験的評価のサンプルを増やしつつ、「評価の枠組みと指標」の基本を完成させました。それに基づく評価システムは「APC評価(Accountability, Performance, Capacityの略)」と名付けられました。
本年度は、最終報告書の作成に向けた調整作業を行いました。まず、中国国内で開催された各種シンポジウムや研修の機会を利用して、APC評価に関する報告や参加者に対する普及活動を行い、03年11月には『公益プロジェクト評価』を出版しました。さらに04年2月21、22日には、台湾・香港の代表を含む学者、民間組織責任者、政府、企業から46人を迎え、清華大学で「非営利組織評価シンポジウム」を開催しました。後日、会議での議論を踏まえ『公共組織評価』を出版しました。また、本事業の責任者である清華大学公共管理学院副院長・王名教授は、自身が委員に選出された全国政治協商会議において、非営利組織評価の問題を提起し、注目を集めました。
事業開始当初、「評価」に対する関心は、一部の専門家を除き、非常に低いものでした。しかし、社会サービスの民間へのシフトが急速に進み、パブリック・マネーの財産権と管理者責任への関心が高まるなか、本事業の成果は普及しつつあります。民間非営利組織関係者のみならず、全国人民代表大会、全国政治協商会議でも多くの代表が政府や公共組織の評価に言及するようになっています。04年6月より施行される「基金会管理条例」には、その1条項として「基金会の監督と評価」が新設されました。これには、本事業の成果が理論的な根拠として大きく作用したと言われています。
本事業は、当初、民間非営利組織を対象として計画されました。しかし、政策評価、官設事業単位改革への応用に期待を高める政府の意向を受け、北京人民政府、科学技術部と清華大学公共管理学院との協力事業も開始されています。

事業実施者 清華大学公共管理学院民間組織研究所(中国) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 2,544,654円

本事業の成果は、書籍として刊行されています。

王名・李妍焱・岡室美恵子『中国のNPO いま、社会改革の扉が開く』第一書林、2001年

鄧国勝『非営利組織評価 Non-Profit Organization Evaluation』北京:社会科学文献出版社、2001年

鄧国勝『公益項目評価 Public Benefit Project Evaluation』北京:社会科学文献出版社、2003年

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