事業紹介

2005年
事業

255 日中若手歴史研究者会議

事業内容

 

1980年代以降、日本と中国がいわゆる歴史認識問題をめぐって外交的対立を繰り返してきた結果、両国民の信頼関係は著しく傷つけられてきました。歴史認識の対立をもたらした要因は数多く指摘されていますが、歴史学者による学術交流の少なさや、歴史資料などが十分に日中間で共有されていないこと、また相手国の歴史観や歴史研究の方法などへの関心が欠如していることなども大きな要因としてあげられます。

 

このような認識に基づき、新しい視点をもつ日中の若手歴史研究者間の研究交流を通して、歴史認識にかかわる問題の整理、解決枠組みの提示と世論形成に資することを目的とし、笹川日中友好基金は2001年度に5年間の継続事業として「日中若手歴史研究者会議」を発足させました。

 

発足時のメンバーの平均年齢は約37歳。「若手」にこだわったのは、従来の歴史研究に束縛されない新鮮な視点を最大限に吸収するためでした。

 

5年間の活動で、定例研究会の開催、研究者の相互派遣、調査研究、国際シンポジウムの開催などを行ってきました。02年3月に日中両国の研究者3人ずつが参加するワークショップを実施し、02年度からは学者、ジャーナリスト、大学院生らが参加する国際シンポジウムを開催するようになりました。03年2月に早稲田大学で約100人の参加者を集めるシンポジウムを開催し、04年3月には浙江大学でシンポジウムを開催、約40人が参加しました。

 

04年には歴史認識問題に関する調査研究を北京大学に依頼するとともに、日本人、中国人若手歴史研究者による論文集作成のための合宿を7月に北海道で行いました。

 

06年3月にはシンポジウム「日中若手歴史研究者会議――国境を越える歴史認識」を早稲田大学で開催し、東アジア近現代史を研究する学者やジャーナリスト、大学院生ら約100人の聴衆を集め、5年間の日中共同研究の成果を発表しました。これまでの会議の議事録は、日中の近代史研究者や関連の教育機関、研究機関、マスコミ関係者に発信されました。

 

5年間の成果として、日中両国の若手歴史研究者が執筆した『国境を越える歴史認識――日中対話の試み』の日本語版が東京大学出版会から、中国語版は中国社会科学文献出版社から06年5月に出版されました。

 

同書では日中間の歴史認識問題の整理を行い、19世紀後半から現代に至る日中関係史の基本的枠組みを明らかにすることができました。

事業実施者 笹川平和財団 年数 5年継続事業の5年目(5/5)
形態 自主助成委託その他 事業費 7,299,274円
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