事業紹介

2010年
事業

300 日中国防関係者交流/フェーズⅡ

事業概要
健全で安定した21世紀の日中関係を構築するうえで、安全保障分野の交流と信頼醸成は不可欠である。当財団は民間ルートによる日中間の国防関係者交流プログラムを10年間続けるという中国側との合意に基づき、2001年から日中現役佐官級の相互訪問研修事業を実施し、2006年からの5年間をフェーズⅡとして位置づけ、国防関係者交流を継続している。交流を実施するにあたっては、中国国際戦略学会を中国側の派遣元とし、中国人民解放軍佐官級制服組を中心とする国防関係者の来日研修を行う。日本側では、防衛省派遣の佐官級自衛官の訪中研修を実施する。各研修では、部隊現場の視察や国防政策の講習などを実施し、参加者間で率直な意見交換を行えるようにする。また、歴史・社会・文化などの研修を通じて、相手国に対する誤解や懸念を解消し、相互理解の促進を目指す。
実施計画
本年度は、事業実施10年目に当たるため、従来通り中国側は中国国際戦略学会が、日本側は防衛省防衛局国際企画課がそれぞれ来日と訪中研修団を派遣し、双方の陸海空部隊や軍事関連教育施設、企業、農村の視察、軍の要人表敬、文化歴史の研修を継続すると共に、訪中と来日時に事業実施10年を記念するイベントを加える予定である。具体的な事業内容は次の通りである。

  • 相互訪問研修の準備:
    双方の事務局が研修内容の検討調整を行う。来日訪中前の事前説明会を行う。
  • 訪中研修視察
    • 参加者:自衛官を中心とする防衛関係者15名、有識者、財団関係者数名。
    • 訪中日程:6月上旬の10日間
    • 視察先:北京や中部地域の陸海空部隊、軍事関連教育施設、農村、学校、歴史史跡など。
  • 来日研修交流
    • 参加者:中国人民解放軍佐官級25名、戦略学会、国防部関係者数名
    • 来日日程:8月下旬の10日間
    • 視察先:防衛省、防衛研究所、防衛大学、陸海空自衛隊関連施設、民間企業、農村、歴史文化史跡など。
    • 交流の様子や成果を双方のメディアや基金のWeb siteを活用して日本、中国双方で発信する。
  • 成果物作成:
    本事業の交流成果を含む成果物を作成する。
実施内容・事業成果
日中の安全保障分野での信頼醸成を目指し、両国の佐官級制服組に相手国を実地見聞する機会や交流・対話の場を提供する本事業は、両国政府の防衛部門の協力を得て、10年間にわたって実施されました。これまでにのべ116名の佐官級自衛官が訪中し、中国からものべ187名の解放軍将校が来日しました。

フェーズⅡ事業の最終年度となる本年度は、第10回日本自衛隊佐官級訪中研修団一行14名と、過去の訪中研修参加者の代表4名に加え、顧問および事務局関係者を含む総勢30名が訪中しました。一行は6月9日~6月20日の12日間にわたり、北京市、河南省(鄭州市、開封市)、湖北省(武漢市)、上海市を訪問しました。この間、梁光烈国防部長への表敬のほか、陸軍航空兵ヘリコプター第四連隊(北京)、空軍空挺第43師団(開封)、海軍工程大学(武漢)、海軍東海艦隊上海保障基地(上海)を視察しました。また中国国際戦略学会および中央党校では「南シナ海における境界線画定」に関するレクチャーや「北朝鮮情勢」などについて意見交換を行いました。また日中佐官級交流10周年記念交流会では、日中両国の制服組が盛大に交流を行いました。

第10回中国人民解放軍佐官級訪日団は、21名の団員および顧問6名が2010年10月20日~31日に来日する予定でしたが、中国側事務局から研修一週間前に延期通達をうけたため、当財団はやむなく訪日の中止を決定しました。これは、中国側事務局から日程上の都合という説明があったものの、尖閣諸島沖漁船衝突事件の余波を受けたタイミングであったことから、政治的影響を受けずに実施してきた本事業の趣旨が損なわれたという判断によるものでした。

事業実施者 笹川平和財団 中国国際戦略学会(中国) 年数 5年継続事業の5年目(5/5)
形態 自主助成委託その他 事業費 18,419,552円
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