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過去の事業方針

事業方針(2009~2016)

笹川平和財団(SPF)とは

笹川平和財団(SPF)は、日本財団およびモーターボート競走業界からの拠出金により、1986年9月に設立されました。
設立趣意書には、国際化が進展し、多種多様な問題を多国間で対応・解決することがますます必要となった1980年代の世界情勢のもとで、経済大国として目覚しい成長を遂げた日本が国際社会においても積極的な役割を果たすことが必要であるとの考え方が示されています。SPFは、これまでこうした考えに基づき、相互依存の一層強まる国際社会の中で、世界の主要国の1つとして日本の果たす役割を考え、民間財団として国際社会への貢献を推進することを目指してきました。

現在の問題意識

財団設立から20年を経過した現在、グローバリゼーションとそれに反発する動きははるかにダイナミックになりました。一方中国、インドの台頭に象徴的にみられるように、世界的な富と力の分布も大きく変わりつつあります。その結果、今日では、資源・環境問題、人口問題、都市化の進行の問題等が国境を越えて深刻化し、富の新たな偏在、伝統文化の喪失、テロの頻発等、グローバリゼーションの進展に伴う負の側面も意識されるようになりました。

そのような国際情勢の中で、日本は指導的役割を十分に果たすことなく経済的な優位性も失う等、国際社会における相対的な地位は低下し、さらに、日本国内では、このままではグローバリゼーションの流れに取り残されかねないとの憂慮も聞こえてくるようになりました。

他方、世界的なボーダレス化の進行や市民社会の台頭、さらにはNGOの活動に対する国際的な評価の高まり等は、国際社会における問題解決の主体を多様化させる傾向にあります。このような情勢の下で民間主導の国際交流・協力を進めるSPFが、日本および世界のさまざまな機関と協力することで、国際的諸問題への創造性のある解決策を推進する可能性は大きくなっています。

日本の国際貢献を推進します

SPFは国際交流、国際理解、国際協力を推進するために設立されました。設立当初に比べ、日本の国際協力は盛んになってきたといえますが、今後は、民間財団として政策研究、提言能力を充実させ、情報発信力を強化し、より主体的な国際協力を行うことが必要と考えます。

これまでSPFは、海外のパートナーと直接つながっていくことによって海外事業を進めてきました。今後は、日本における潜在的な国際貢献の可能性を引き出し、より複雑となった国際問題の解決に日本の多様な専門性を有効に活用することも重要と考えます。

自らが国際協力を行うのみならず、日本において専門性を有するパートナーを発掘し、彼らが問題解決を目指して海外のカウンターパートと協働する事業を実施、または支援し、日本の民間主導による国際貢献の拡充・強化を目指します。

グローバルな問題の解決を目指します

SPFは、国際社会の直面する共通課題を、日本やアジア諸国において顕在化した問題の中で捉え、解決を図ることを目指します。

これらの共通課題は多岐にわたりますが、日本がすでに直面し世界に先駆けて対応している問題、あるいはアジア地域にとって深刻と思われる問題を取り上げ、実践的な調査・研究・試行を経て政策提言を行い、またはそのような試みを支援し、グローバルな問題の解決に貢献します。

重点地域との相互理解と協力関係を強化します

SPFは、国際社会の安定と健全な発展のため、その時々の社会情勢において重点地域を設け、それらの国々との交流を促進し、協力関係を築きます。

重点地域の選定には、日本と当該地域との相互協力関係を築くことが、日本におよび世界全体の安定と平和に貢献すると考えられる地域、あるいは、当該地域への理解の増進もしくは当該地域の抱える問題の解決が国際社会にとって必要である地域を選択します。

プログラム(2009~2016)

これらの事業方針に基づき、SPFは中期的に以下のプログラムを推進します。

1. 平和と安全への努力

1.1 安全保障・平和構築

2001年の米国同時多発テロ以降、世界の安全保障環境は大きく転換したといわれており、アジア・太平洋においてもそれは例外ではありません。SPFは、アジア・太平洋地域の安全保障について、各国の安全保障専門家等の協力を通じ、域内の平和と共存を推進する方策を探るとともに、域内の平和構築に関わるNGO等の国際協力の試みを支援します。

1.2 非伝統的安全保障

従来の軍事を中心とする安全保障システムでは対応できない脅威に関する安全保障について、非伝統的安全保障という概念が用いられるようになりました。定義はまだ定まっていませんが、SPFでは、アジアにおいて深刻であると考えられる非伝統的脅威、たとえば鳥インフルエンザ等の感染症、自然災害等を緊急に取り上げなければならない問題と考えています。国家単位での取り組みは欠かせませんが、民間レベルにおける予防や早期警戒のしくみ等を構築するための調査研究や試験的な取り組み等を支援し、アジア域内における効果的な危機管理体制等の確立に貢献します。

2. グローバリゼーションの功罪への挑戦

2.1 市場と格差

東アジア地域は今までグローバリゼーションの波に乗った形で経済成長を果たしてきましたが、国・地域間格差の広がりや社会的弱者の排除の問題など、さまざまな文脈で語られる「格差」の問題がグローバリゼーションの負の側面として深刻化してきています。 SPFは、従来の援助や公的福祉の枠組みによらない、格差是正のための創造的な取り組みとして、問題解決型のビジネスモデルやその担い手となりうる社会起業家の支援体制の整備、地域の競争力を高めるしくみづくりなどを推進するとともに、安定的な経済成長を図るため、特に開発途上国の立場にたち、現在の国際金融、貿易システムの問題点を分析・研究し、改善を提案する試みを支援します。

2.2 人口移動に関わる問題

20世紀における寿命の大幅な伸長と21世紀前半の急速な人口増加により、世界的な人口転換が予見されます。日本を含む東アジア諸国においては、高齢化と人口の減少により、外国人の受け入れによる経済規模や生活水準の維持・拡大を前提とした新しい国家像とそれに基づいた政策の策定が重要とされています。 SPFは、主にアジア地域における人口構成の変化や人口移動の状況を明らかにし、域内協力の基盤構築を推進するとともに、それらの変化に対応した新しい国家や都市のあり方を追求し、人口移動や社会の少子化、高齢化等に伴う問題解決の試みを支援します。

2.3 科学技術と社会

社会が知識基盤社会へと移行するとともに、科学研究の成果が富を生み出す源泉として認識され、知的財産化される傾向がますます高まっています。しかし、それらを利用できる国と利用できない国が生まれ、公共の目的のために必要な技術や知的財産を利用できないという現象が起きています。一方で、グローバリゼーションをうまく利用することにより、資源に乏しい国でも、特定分野で国際的に抜きん出た地位を確保することも可能になっています。 SPFは、技術や知的財産を持たない国や社会が、科学技術の恩恵を受けられるような試み(たとえば、技術移転、地域間協力による知識・情報のネットワークや技術プラットフォーム構築)や、公共利用を目的としたオープンソース開発のような、知的財産権の枠組みにとらわれない新しい技術開発の枠組みを検討する試みを応援します。

3. 特定地域の理解促進

3.1 米国との交流事業

米国は日本にとって経済的にも、また、安全保障の観点からも最も重要な同盟国でありながら、関係性は非対称的である上、日本の民間財団が米国の財団を真のパートナーとして行う継続的な国際交流、国際協力のための事業が大変少ない状況にあります。
今後は、日米の将来を担う研究者、政治家等のオピニオンリーダーの相互交流を長期的視野のもとに促進し、日米双方の世論形成等に役立つ人脈形成を目指すほか、日米共同によるアジア・太平洋地域における安全保障、政治、経済上の課題解決を図る事業を支援します。

第三期中期事業ガイドライン(2000~2008)

1. 多元的価値観の共存に向けて

1-1.文明の諸問題に対する総合的理解の試み

数多い問題の中から、次の3つを中心的な課題として取り上げます。

(1)異文化・異文明相互間の対話の試み
対等の立場に立って相互に学び合うというのは、言うのは簡単ですが、実行するのは容易ではありません「何のために」学ぼうとするのかがはっきりしない、あるいは特定の価値観の下に学ぼうとするからかもしれません「アジア的停滞」、「オリエンタリズム]という表現がありますが、そういう意味で、これらの言葉はまだ死語になっていません。

SPFは、特にイスラム文明との相互理解に向けての試みに関心を抱いています。しかし、イスラム文明に限らず、総合的、学際的な立場からの異文化・異文明間対話一般についても柔軟に対応していきたいと考えています。

(2)経済発展パラダイムの見直し
政府の資金援助などを中心とした「開発」が、一部の地域を除いて見るべき成果をあげることができないまま、20世紀が終わろうとしています。豊かな自然環境と開発の共存を求める「持続可能な開発」も、個人所得の増加、産業振興に向けてのなりふりかまわない行動の前には思うにまかせないようです。

人々が幸福を追求する手段としての経済発展が、いつの間にか自己目的になってしまったのでしょうか?SPFは、21世紀の豊かな社会像について、野心的なビジョンを探りたいと考えています。

(3)科学と生命倫理の新時代
「いまや神の領域にまで足を踏み入れた」と言われる科学の進歩、その成果をいち早く取り込もうとする産業と企業、その権利を知的所有権が保証しています。しかし、その成果を享受するのは誰か、利用できないのは誰か、という問いかけはあまりなされてきませんでした。

知識、科学と市場のあり方、生命、倫理とのかかわり、さらにはそれに対する市民の位置づけ、こうした広汎な問題意識の下、異なった歴史・風土の地域・国家の間に共通の理解が成立するのかという問題を含め、科学と生命倫理のあり方について、わかりやすい言葉で整理する試みにSPFは関心をもっています。

1-2.地域共通問題に関する対話と交流

21世紀の世界システムは、2種類のサブシステムが相互に補完しながら形成していくことになるでしょう。
第一のサブシステムは、政治、安全保障、信頼醸成、経済、貿易、環境などの個別問題群によって構成されます。第二のサブシステムは、同一の文明圏に属する複数の国家から成る「地域」と言われるものです。そして、第一のサブシステムは、地球規模で機能する前段階として、第二のサブシステムである地域の中で機能するかどうか、重要な問題提起をすることになるでしょう。

第二のサブシステムのなかで第一のサブシステムを有効に機能させるためには、同質な集合体を形成し、問題をともに解決していくためのさまざまな協力の仕掛けが必要となります。さらに、このようにして先進的な地域協力のメカニズムをつくり上げた経験を、これから地域協力に向けて始動しようとしている地域に移転していくことも必要になるでしょう。

北東および中央アジア、アラブ・中近東ならびにコーカサス、さらには環インド洋などの地域では、21世紀の新たな協力の可能性に向けて、すでに歴史的な胎動が始まっています。そこで取り上げられる問題も、安全保障や信頼醸成といった分野から、貿易や投資などの経済分野、さらには麻薬やマネーローンダリングなどに至るまで、きわめて多岐にわたるものとなるでしょう。

SPFは、傘下の笹川太平洋島嶼国基金、笹川中欧基金、笹川日中友好基金ならびに笹川南東アジア協力基金の4つの地域基金と連携して、地域協力体制を築くための対話と交流を積極的に支援していきたいと考えています。

1-3.情報の共有と地球社会に向けての発信

さまざまな知的対話と、その成果については、それらを生み出す努力以上に、その情報発信と共有に向けての工夫が重要となります。世界のあちこちで見られる情報の偏在、あるいはきわめて不正確な情報の数々を知るにつけ、我々は「情報化の時代」に生きていながら、残念ながらそのメリットを十二分に活用してこなかったという認識を新たにせざるを得ません。

過剰とも思われる情報の氾濫の中にあって、なおこうした事態が発生するのには、いくつかの理由があります。その中からSPFは特に以下の3つの項目を取り上げ、この状態の改善を試みたいと考えています。

  第一にこれまで比較的そうした努力が行われてこなかった欧米以外の地域に焦点をあてていきます。特に、日本を含むアジアから国際社会に向けての知的情報発信の試みを支援し、アジアに対する認識を共有する活動を促進したいと考えています。

第二に、「異なってあること」と「共通性を求めること」の接点を見いだし、その障害となっている要因を発見し、除去するための情報発信を支援したいと考えています、活字媒体の利用、その他各種メディアやインターネットの活用を含め、野心的な提案を期待しています。

第三に、発信される情報の受け手、つまり想定される聴衆について、さまざまな可能性と、それに応じたアプローチを検討していきたいと考えています。誰に向けて発信するのかを問うことによって、何を伝えなければならないか、明らかになると考えるからです。

2.豊かな社会の創造と民間非営利活動

2-1.民間非営利組織、企業、公的セクター間の協力

21世紀に向けて、豊かな社会の実現のために、豊かさの内容に関するパラダイムが世界の各地で転換されつつあります。そのパラダイム転換達成のためには、民間非営利組織、企業、公的セクター間の協力が、国民国家のレベルにおいても、地球的レベルにおいても必要不可欠です。SPFは、このようなセクター間協力による創造的な活動の提案に着目します。

国民国家のレべルでみると、先進国にあっては、産業構造や家族制度といった基本的な構造の変質、あるいは少子高齢化社会の到来という社会構成の変化が起きています。これら先進国では、安心して暮らしていける社会を実現するために、雇用、社会保障、老人介護など、これまで政府や産業社会がつくり上げてきたしくみと担い手の双方に基本的な見直しが求められています。

地球的なレベルでみると、先進国、途上国を問わず、豊かな社会の創造と地球社会の持続的な発展のために、地球規模での環境資源への負荷低減が重大な課題となってきています。地球環境の保全において問われているのは、企業社会と民間非営利組織の望ましい協働のあり方を模索する新たなアプローチや、アクション・プランの提示、そして実行です。

また、発展途上国や移行経済国家では、開発行為と表裏一体の関係にある、限られた資源の争奪が新たな問題として浮上することになるでしょう。国家の内部紛争に対する国際機関の役割の限界が指摘されていますが、このような開発と紛争の悪循環、あるいは従来の紛争の負の遺産を絶ち切り、紛争の発生を予防する新たなアクターとして、民間非営利セクターならびに企業セクターの役割が注目されています。

このような問題意識から、SPFでは民間非営利組織、企業、公的セクターの協力について、新しい問題意識に基づいた提案を期待しています。対象となるのは、本項で取り上げてきた3分野(社会構成の変化〔とりわけ少子高齢化社会の到来について〕、環境問題、開発・予防外交)が中心となりますが、それ以外のテーマにも柔軟に対応していきたいと考えています。

2-2.民間非営利活動の機能強化と社会装置化

SPFは、これまで民間非営利活動の「社会装置化へ向けての諸作業」に着目してきました、そうした活動を一過性のものとして終わらせず、社会的な機能として定着させていくための仕掛け、あるいは装置が重要だと考えたからです。このような仕掛けないしは装置を、全体としてさらに強化していく諸作業に新たな重点をおきたいと考えています。

これらの作業は「民間非営利活動の評価システムの開発ならびに普及と共有」、「民間非営利活動に対する資源動員と公益活動を構成する各主体間の仲介機能強化」、「公共政策への係わり」という3つの領域から構成されます。

民間非営利活動そのもの、あるいはその成果に対する「社会的責任」への問いかけはますます厳しくなるでしょう。透明性、公開性、説明責任はその一部にすぎません。SPFは、このような問題意識の下、民間非営利活動に対する評価システムの開発ならびに普及と共有についての野心的な取り組みを応援していきます。

民間非営利活動がさらに拡大していくためには、その基盤である人材、資金、経営ノウハウなどのさまざまな資源動員と、多様な民間非営利組織相互の、さらには企業や公的セクターとの間の仲介機能の強化が欠かせません。この領域でもSPFは内外からの提案を期待しています。

上記の2分野に関する提言は、すべてなんらかのかたちで公共政策として実現されなければなりません。SPFは、調査研究の領域での成果も踏まえつつ、どのような政策の可能性があるか、どのようにしてそれを実現していくかについても関心を抱いています。

2-3.民間非営利活動に関する調査研究

民間非営利活動の実態については、かなり光があてられるようになってきました。しかし、まだ十分というにはほど遠い状態です。SPFは、民間非営利活動に関する基礎的な調査・研究を重要な分野として認識しています。特に、これまで手薄だった非西洋文明圏世界を対象とした民間非営利活動の調査・研究に重点をおくほか、「市民社会論」に代表される基礎的ないしは理論的な調査・研究も重視していきます。

前者については、これまで近代西洋文明圈という思考の枠組みの中では無視されたり、科学的に把握する努力もなされなかったイスラム文明圏における諸活動と、その活動が非イスラム圏に対してもつ意味が重要になります。こうした地道な活動の積み重ねが、相異なる文明の間の民間非営利活動の真の連帯実現の基礎となることを期待しています。

民間非営利活動に対する基礎的な理論構築が、他の分野に比べて著しく立ち遅れていることは認めざるを得ません。その一つの試みである「市民社会論」も、たとえば民主主義や市場経済に関する論考に比べれば、量的にも質的にも不十分です。法制面での諸問題、たとえばわが国における憲法、民法等の不備あるいは欠落は、ここにもその一因があります。

民間非営利活動の内容や領域定義の明確化、需給関係の正確な把握といった基本的な事項に加え、21世紀における民間非営利組織の望ましい姿、それを阻害する要因の解明などのテーマもこの分野に含まれます。

3.世界の中の日本とアジア

3-1.日本の構造変動と東アジア

21世紀初頭の近未来を想像する時、日本の社会で起きているさまざまな構造変動は、東アジア諸国の将来を展望するにあたって大いに参考となるに違いありません。

日本は、1960年代の高度経済成長の時代から、70年代の安定成長の時代、80年代のバブル経済の時代を経て、90年代の低迷の時代へと大きく揺れ動いてきました。その間、日本の政治体制も、50年代から80年代までの長期間にわたった安定的な一党支配から、90年代以降、複数政党連立政権へと転換しました。社会面においても、40年代と60年代に2度のベビー・ブームがありましたが、90年代以降は急速に少子高齢化社会に転換し、将来の教育、労働、雇用、社会福祉など、多方面にわたる深刻な懸念をもたらすこととなりました。

急速な経済成長の軌道に乗っていた東アジア諸国も、80年代に入り、経済成長による新たな中間階層の出現、政治意識や統治体制の変化、人口の急速な高齢化による経済・社会面での新たな課題、外的ショックへの脆弱性、情報通信革命、教育問題など、政治、経済、社会の全般にわたる大きな構造変動に直面することになりました。

第三期中期事業ガイドラインでは、日本社会が直面している構造変動に焦点をあて、その経験と今後の展望を東アジア諸国と共有するという視点で、政治・経済・社会面における日本と東アジアの共同作業を支援していきます。

3-2.東アジア再生と経験の移転

1997年に発生した東アジアの通貨危機は、金融・経済危機に発展し、さらには統治体制にも影響を及ぼすことになりました。この危機の原因は、グローバリゼーションの象徴とも言える国際金融資本という外的要因や、国内諸制度の不備という内的要因など、きわめて多岐にわたります。

「発展の奇跡」から「東アジアの危機」に至る経験の総括、また、そこからの再生へのシナリオは、地球社会でいまだに大多数を占める発展途上国の開発政策に大いに参考になることでしょう。このような観点から、SPFは第二期中期事業ガイドラインに引き続き、東アジアの経験を発展途上国や移行経済国家に移転する試みを第三期中期事業ガイドラインでも継続していきます。その際、取り上げるテーマは経済政策に限定せず、政治や社会面での変化にも着目していきます。

3-3.世界経済システムの構築と日本・東アジアの役割

日本および東アジアは、世界経済に大きな位置を占めるようになりました。この地域の変化は、世界経済のシステミックな変化を招来することになります。日本もアジアも欧米先進国の市場の存在を前提に経済発展してきましたが、近未来において、日本と東アジアは、多くの発展途上国に市場を提供することにより、世界経済の持続的な発展を支えていかなければなりません。

しかし、日本および東アジアは、北米、EUに並ぶアジア経済圏の形成、新たな域内通貨システムをはじめとする域内経済の協調システムの構築など、多くの課題を抱えています。さらに、世界経済システムとの協調という視点からみると、従来の[アジア・モデル]の見直しに始まり、新たな国際通貨体制への提言、時に暴発的な振る舞いをみせる市場経済システムのルールづくり、日本や東アジアの経験を踏まえた国際的なセーフティ・ネット再構築への提言等が期待されます。

日本と東アジアが、21世紀初頭の世界経済システム構築に向けて、どのような貢献ができるか、内外の野心的な提案を期待しています。

SPF中期事業ガイドラインの比較

SPF中期事業ガイドラインの比較図

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