ドイツ
図1:ドイツ各州の構成・位置図
出典:在ドイツ日本国大使館ウェブサイト
ドイツ連邦共和国(以下、ドイツとする。)は、1949年5月23日に成立した「ドイツ連邦共和国基本法(Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland:GG)」を憲法典とする連邦国家であり*1、16の自治権を持つ連邦州(ベルリン及びハンブルクは1つの市で州を構成する特別州(都市州)、ブレーメン州はブレーメンと飛び地であるブレーマーハーフェンから成る都市州)から構成されています。また、ドイツは、北東部でバルト海に、北西部で北海にそれぞれ面しています(図1参照)。
連邦国家であるドイツにおいては、その領土・領海は各州が管轄権を有します(連邦空間整序法第8条1項)。また、排他的経済水域(以下、EEZとする。)については連邦が管轄権を有します(連邦空間整序法第3節)。このため、ドイツ領海のうち、北海についてはニーダーザクセン州(NS州)及びシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州(SH 州)の管轄権が及び、バルト海についてはシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州(SH州)及びメクレンブルク=フォアポンメルン州(MV州)の管轄権が及ぶこととなります。ドイツ各海域における管轄主体については以下の通りです(図2参照)。
図2:ドイツ国内法における海域管轄区分(著者作成)
近年のドイツにおける海洋政策の特徴は、連邦レベルでの海洋に関する政策・戦略の策定、これに基づく空間整序計画(海洋計画)の策定、並びに洋上風力発電事業のパイオニアとしての実証事業及び実用化拡大であり、とりわけ、環境に配慮した再生可能エネルギーとしての洋上風力発電を拡大するための法的・科学的な基盤整備にあるといえます。
- *1 ドイツ法体系に関する入門書として以下の文献が参考となります。村上淳一=守矢健一/ハンス・ペーター・マルチュケ『ドイツ法入門〔改訂第8版〕』(有斐閣、2012年)xii+336頁。また、ドイツにおける海洋関連法及び政策に関する最近の論文として以下が挙げられます。齋藤純子「総合的海洋政策の理念と展開一EUとドイツを中心に一」国立国会図書館調査及び立法考査局『科学技術に関する調査プロジェクト[調査報告書]海洋開発をめぐる諸相』(国立国会図書館調査及び立法考査局、2013年)83-104頁。高橋寿一「海の利用・保全と法 ― 日独比較法研究序説 ―」『横浜国際経済法学』20巻3号(2012年)1-28頁。