フランス

2013年7月2日、オランド大統領は海洋政策を所管するエコロジー・持続可能開発・エネルギー省(MEDDE, le Ministère de l'Écologie, du Développement durable et de l'Énergie)の大臣であったデルフィーヌ・バト(Delphine Batho)を解任し、後任としてフィリップ・マルタン(Philippe Martin)を任命しました。その公式の理由としては、彼女がラジオ番組において2013年度予算を批判したことで――実際、MEDDEの予算額は全体的にも海洋分野に限っても減少しています――閣内不一致の状態が生じたためであるとの説明がなされました。しかし、非公式の理由として、彼女が海底におけるシェールガス開発のための許可を取り消すなど、環境重視でエネルギー開発に消極的であったことによって産業界から排斥の圧力があったということがメディア上で指摘され、本人も退任後に同様のことを示唆しています。エネルギー政策に起因すると見られるMEDDE大臣の交代はオランド政権下で早くも2度目であり*1、フランス政府において今後どのような方針が採られるのかが注目されます。

以上のような政治的混乱を反映してか、2013年度の海洋政策の進展はあまり順調とはいえないように思われます。実際、海洋保護区や洋上風力発電に関する政策は当初のタイムテーブル通りには進んでおらず、また2013年1月に設置された海洋問題に関する国家レベルの諮問機関である海洋沿岸国民評議会(CNML, Conseil national de la mer et des littoraux)*2についても、設置から半年後の7月18日にようやく第2回会合が開催されたに留まります。

  1. *11度目の交代は2012年6月に行われており、ニコル・ブリック(Nicole Bricq)が貿易大臣に転任する形でMEDDE 大臣の任を解かれています。体裁上は更迭ではなく内閣改造の一環とされましたが、オランド政権発足(2012年5月)からわずか1ヶ月でのこのような転任は異例であり、実際フランスのメディア上では彼女の環境重視のエネルギー政策を嫌った産業界からの圧力が原因である旨が指摘されました。
  2. *2詳しくは、平成24年度の報告書(38頁)をご参照ください。

各国の海洋政策

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