Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第15号(2001.03.20発行)

第15号(2001.03.20 発行)

編集後記

ニューズレター編集委員会編集代表者 (横浜国立大学国際社会学研究科教授)◆来生 新

◆南の国からの桜の便りも聞こえはじめ、駘蕩とした春風に旅情を誘われる季節になった。「朝ぼらけ浜名の橋はとだえして霞をわたる春の旅人」(藤原家良)。人は旅をし、自ら移動することによって未知を求める。他方で、物流はさまざまな物に化体した未知の世界をわれわれの日常世界に運び込む。四囲を海に囲まれた日本は、海運によって未知の世界とつながる国である。

◆世界の海運をとりまく状況は、日本に、霞をわたる春の旅人として、たゆたいながら進むことを許さない。シンガポールの目的的な港湾・海運政策を紹介くださった田中氏、サブスタンダード船の引き起こす深刻な問題と世界的な規模での改善努力について紹介くださった林氏の論考が、今後の日本の政策決定に示唆するところは大である。

◆河豚の季節も終わりつつあるが、韓国と日本の関係を、傾国の美女西施にさかのぼって論ずる高氏の投稿を得た。近さ故の近親憎悪は河豚の毒に似る。河豚の美味がその毒による死と切り離せないように、両国の苦い過去を希望の糧に転ずる努力を怠るべきではない。一衣帯水、日本海は、過去も現在も将来も、両国にとって重要な海なのである。(了)

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