Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第408号(2017.08.05発行)

編集後記

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる

◆恒例の「海の日」の行事、"海と日本プロジェクト"の総合開会式が7月17日に東京港晴海客船ターミナルで開催された。今年も、海洋関係者ばかりでなく、一般応募の親子が参加していた。さらに、神戸開港150年記念事業である帆船「日本丸」の航海を体験してきた神戸市内の中学生12人が参加し、文字通り、子どもから大人までが海に親しみ、海を知る機会が定着してきている。さらに、同日、天皇皇后両陛下が、横浜港の日本丸メモリアルパークのシンボル帆船「日本丸」の帆を張る様子をご覧になった。もともとは7月20日を記念する海の日であったので、20日に固定して欲しいという声も多い。「海の日」というと夏本番、いつまでも楽しく安全に海の思い出をたくさん残す夏でありたい。
◆出前授業で必ず問うのは、日本の貿易のうち海上輸送は何パーセントか、である。正解できる子どもは皆無だ。大人も正解は難しいだろう。諏訪達郎氏からは、外航海運の激しい競争の中で、この日本の海上輸送を担う日本商船隊の重要性、日本籍船の確保と競争力向上への環境整備などの政策の進捗について解説をいただいた。その背景には日本籍船が非常時の経済安全保障の中核を担う等の責務を負うことも忘れてはならない。
◆海と神様の繋がりは深い。絵馬は、神様への祈願と感謝を奉納する手段であるが、明治40年の瀬戸内海のタイシバリ網漁の大きな絵馬からは、大漁の喜びと漁師の誇りが伝わってくる。真鍋篤行氏は伝統的網漁の聞き取り調査を行っており、そこには、海と魚と人が共存する過去の時空間が現在に蘇ってくる。この海と分かち合う喜びを後世に残したい。
◆ペンギンの一番の愛らしさは、短い脚でよちよち歩く姿だろう。ペンギン好きが多い日本は11種類約4,000羽の飼育数を誇る。希少種の保護と繁殖にも寄与している。楠田幸雄氏が館長を務める長崎ペンギン水族館では、約180羽の7割が長崎生まれで、自由に行動するペンギンも見学できる。日本人のペンギン好きは冷めそうにない。 (窪川)

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