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[ワークショップ全文⑨]「地域社会の多様性とムスリムコミュニティーに関するワークショップ」
~ミャンマーでの調査結果を事例に~(2017年3月28日開催)【質疑応答2/2、閉会】

2000.04.01

(会場2) 私、多文化社会に関して教えておりまして、よく高田馬場と新大久保へ学生を連れて行き、多文化社会のエクスカーションをしています。高田馬場はビルマ人がたくさん住んでいますが、同じように、新大久保へ行くと、モスクがありまして、そこに行くとビルマ語がたくさん書かれているのをずいぶん見かけます。この人たちはどういうムスリムの人たちか、よく分からないのですが、ここで言うところのバマー・ムスリムなのか、それともロヒンギャなのか、どのぐらいの数がいるのか、もし御存じだったらご教授いただきたいと思います。もう一つは、いろいろな国民のステータスに関して、準国民というお話がありましたが、具体的にどういうステータスなのか、ご説明いただければと思います。

(斎藤) ご質問ありがとうございます。高田馬場にミャンマーの人たち大勢いるのは、実際、そのとおりです。また、新大久保は依然は韓国のお店などが多くありましたが、最近は、ムスリム向けの食べ物屋さんなどが増えてきています。新大久保にある礼拝所は、管理しているのがミャンマー系のムスリムということで、ビルマ語が多く書かれているのはそのとおりだと思います。ただ、こちらに来ているムスリムの人数については、把握しておらず申し訳ございません。ロヒンギャについては、都内に住んでいるよりも、群馬県の館林にコミュニティーがありまして、そちらにたくさんの人がいるというふうに聞いています。

国民のステータスについてですが、国籍を持っている人の中でも「国民」、「準国民」、「帰化国民」と三つに分かれています。実は、準国民と帰化国民というのはほぼ同じで、以前の法律に基づいてすでに国籍を申請していたものの、まだもらってない人たちに対して、新しく与えられるステータスとして、準国民となっています。基準は、1982年の国籍法になります。この国籍法が出された後で、やはり自分はミャンマー国民だと思うと国籍を申請した人たちです。その1982年の国籍法に基づく資格については、ほとんど1947年の憲法、1948年の国籍法と同じ資格です。1823年、第一次イギリス・ビルマ戦争以前から、ミャンマーに住んでいた人の子孫だと証明がはっきりできる人はすぐに国民と認められます。ただ、そうではなくても、両親のどちらかの先祖がそうであるとか、その他にも細かい条件はありますけれども、その条件に合致していれば国籍は認めますというのが1982年の国籍法になります。この法律に基づき申請していたけど、まだカードを受け取ってない、もしくはこれから申請する場合、申請の資格・条件は同じということで、申請済みであれば新しく得られるステータスが「準国民」、新しく申請であれば「帰化国民」というように分かれます。

基本的には、申請条件を満たしていて、これから国民の申請をし、おそらく国籍を得られるであろう人というのは、帰化国民にしかなれないはずです。ただし、法律では、3代目、子供の代、孫の代まで行けば全員国民になるというふうになっています。そんなことを全然配慮しない国民登録証が発行されていますので、何とも言えませんけれども、一応、法律上は、その国籍を持っている中での差別はなくなるということになっています。実態はどうかと言われるとまた別の話になりますが。

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閉会

(堀場) 本日のワークショップが、アジアのムスリムコミュニティーの理解促進、そして関心喚起につながればいいなと思っております。本日はミャンマーの話でした。非常に多様に富んだアジアでございますので、調査研究を進めてきましたほかの国のムスリムについても、人々の生活、社会の実情、それについての課題も、今後このようなワークショップや勉強会を通じて発信していくような企画をしてまいりたいと思っております。その際には、ぜひまたご参加をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。