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インド国会議員訪日記念講演会
「日印関係の新たな可能性 ―エネルギー問題の観点から―」サマリー

2014.12.19

 笹川平和財団は、「インド国会議員戦略対話」事業の一環として、「日印関係の新たな可能性―エネルギー問題の観点から―」と題した記念講演会を10月16日に、都内にて開催しました。本事業では、インドでの6月の政権交代後初めて、5名の現職の国会議員の方を日本にお招きしており、本講演会では議員団団長のタルン・ヴィジェイ インド国会上院議員(インド人民党)から講演を頂戴致しました。また、モデレーターとして、一般財団法人日本エネルギー経済研究所の伊藤庄一研究主幹をお招き致しました。
ヴィジェイ上院議員から、インドにおけるエネルギーを取り巻く状況と、日印関係におけるエネルギー分野での協力の可能性について講演がなされました。最初に、インドがすでに世界第4位のエネルギー消費国であり、2030年までに一次エネルギー需要が現在より倍増するという予測をうけ、あらゆるエネルギーについての協力が必要である点を強調されました。その後、すでに行われている政府間でのエネルギー対話や民間レベルでの協力の実例についての紹介後、クリーンコールテクノロジーや高効率の太陽光発電等の再生可能エネルギー技術、さらに原子力の民間平和利用といった日本が有する高度なエネルギー技術への期待と、包括的かつ戦略的な協力の重要性について触れられました。エネルギーという技術色の強いテーマ設定であったこともあり、全体を通し、個別技術に触れる機会が多い中、ヴィジェイ上院議員は、その技術協力の背景にあるべき資源大国であるインドと技術立国である日本との「信頼」の重要性について、改めて指摘されました。
モデレーターの伊藤研究主幹からは、エネルギー政策の専門家として、日印間のエネルギー分野での更なる協力関係のための論点整理がなされました。まず、インドにおけるエネルギーの需給ギャップがこれから加速度的に拡大することをうけ、オイルショック以降の日本の省エネルギーの経験が非常に重要な役割を果たすという可能性を強く示唆されました。また、原子力技術の平和利用については、核不拡散条約との関係も含め、インドには世界の模範となってもらいたいとの期待が寄せられました。エネルギーの安全保障という視点では、中東から東アジアまでのシーレーンの重要性に着目し、日印のみならず、マルチの枠組みについての可能性にも触れられました。