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ハレ・エスファンディアリ博士(米国ウッドロー・ウィルソン国際学術センター中東部長)講演会「イラン・米国関係の動向~ジュネーヴ合意を受けて~」サマリー

2014.06.09

ハレ・エスファンディアリ博士

ハレ・エスファンディアリ博士

笹川平和財団は、2014年6月5日(木)に米国ウッドロー・ウィルソン国際学術センター中東部長のハレ・エスファンディアリ博士を招き、「イラン・米国関係の動向~ジュネーヴ合意を受けて~」を開催しました。今回初の来日となったエスファンディアリ博士は、イラン革命後の1979年に家族とともにイランから米国へ移住しました。博士は、2006年12月末に母親の病気見舞いのためにイランを訪問した帰途、反政府活動を行ったとの嫌疑を受け、イラン情報省によって105日間にわたり拘留された経験があります。
当日、エスファンディアリ博士は、イランの外交政策や米国との関係について次のように解説しました。「イランは地域大国として、安全保障や貿易問題など、地域の方向性を決定する場に参画し、地域の有力国家という地位を確保することを強く意識している。しかし、米国はそれを排除しようとしており、イランにとって大きな障害となっている。そのため、最高指導者であるハメネイ師は、米国の覇権主義に対抗しようという強い意欲を持ってきた。よってロウハーニー大統領やザリーフ外相らの穏健派が米国との関係改善に取り組んだとしても、最終的にハメネイ師は米国政府に対して懐疑的であり続けると考えられる。一方で米国市民の中で、米国大使館占拠事件(イラン革命後の1979年に発生し、外交官・海兵隊員・その家族ら52名が人質となった)の記憶などが阻害要因となり、国民感情が急速に好転することは容易でない状況にある。両国の軋轢が発生する背景には、このように構造的かつ複雑な問題が絡み合っていることに起因している。」
会場の様子

会場の様子

また博士は、核問題をめぐる6か国協議について、最終合意に向けて厳しい交渉が予想されるものの、一定の成果が期待できるとの見通しを示す一方で、平和的な解決のためには、合意事項の厳格な遵守が前提になると述べました。フロアから出された「ジェンダー問題について前進はあったのか」という質問については、現職副大統領のうち3人が女性であり、また3人の女性知事がすでに任命されていることを例として挙げ、「女性の社会進出こそがイラン社会に変化をもたらす」と強調しました。

左より:エスファンディアリ博士、モデレーターの坂梨祥氏

左より:エスファンディアリ博士、モデレーターの坂梨祥氏

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