総合的海洋政策

【フランス】その他

  • 国立公園、海洋自然公園、地方自然公園に関する法律(2006)、及び同法により設置された海洋保護区局。
  • 海洋再生可能エネルギーに関する研究報告書(MEDDE他、2013)に法制度の整理がある。

海洋保護区政策をめぐる近年の動向

海洋保護区政策については、2013年の海洋自然公園の新規創設はゼロでした*1

とはいえ、既に創設された5つの海洋自然公園――①イロワーズ、②マイヨット、③リヨン、④グロリューズ、⑤ピカール河口・オパール海――においては、管理評議会(conseil de gestion)の開催などの管理実践が漸進的に積み重ねられています。そこで以下では、それぞれの海洋自然公園の最近の活動について簡潔に紹介します。

最近の活動
2014年2月27日マイヨット海洋自然公園の管理評議会の会合が開催。2013年活動報告や2014年活動計画の承認などがなされた*2
2014年1月31日イロワーズ海洋自然公園が、年間のヴィジョンや公園の長期的な健全性について記載されたバランスシート(tableau de bord)の第3版を発表*3
2014年1月24日ピカール河口・オパール海海洋自然公園の管理評議会の会合が開催。アザラシの乱獲についての議論、浚渫活動に対する同意見解の付与などがなされた*4
2014年1月24日イロワーズ海洋自然公園の管理評議会の会合が開催。企業からの活動許可申請に対する同意見解の付与などがなされた*5
2013年10月3日ピカール河口・オパール海海洋自然公園の管理評議会の会合が開催。事務局長の選任、浚渫活動への許可などについて議論がなされた*6
2013年7月12日ピカール河口・オパール海海洋自然公園の管理評議会の第1回会合が開催。議長などの選任、管理計画の策定などについて議論がなされた*7
2013年7月10日海洋保護区局の行政理事会がマイヨット海洋自然公園の管理計画を承認した*8
2013年2月22日グロリューズ海洋自然公園の管理評議会の第1回会合が開催。議長などの選任が行われた*9
2013年1月22日イロワーズ海洋自然公園の管理評議会の会合が開催。議長の再選、2013年の活動報告の承認などがなされた*10

また、2013年10月21日から27日まで、マルセイユ及びコルス島において第3回の海洋保護区に関する国際会議(Impac 3)が開催された*11

洋上風力発電をめぐる近年の動向

(1)本土沿岸域での洋上風力発電施設建設

フランスでは、本土沿岸域での洋上風力発電施設の建設及び運営を請け負う事業者を募る入札募集がこれまで2回行われています。第1回の入札募集は2011年7月に発表され、入札期限の2012年1月11日までに5つの海域について合計10の入札がなされたのを受けて、選考の結果2012年4月に4つの海域について落札企業が決定されました(1つの海域については落札企業なしとされました)*12。第2回の入札募集は2013年3月に発表され、当初の予定では同年9月が入札期限で2014年1月が落札企業の決定とされていましたが、2014年3月1日でMEDDEのウェブサイト上ではそうした進展は確認されていません。

(2)洋上再生可能エネルギーをめぐる法的状況及び課題

2013年3月にMEDDEの下で発表された研究報告書*13において、洋上再生可能エネルギー(洋上風力発電以外も含む)をめぐるフランス国内の法的状況及びその課題が検討されており、日本における取組を考える上でも有益と思われます。

フランスの領海は海洋公産(Domaine public maritime)とされ、私人が海洋公産を占有するための手続は2つ存在します。第1は一時的占有許可(l'autorisation d'occupation temporaire)を得ることですが、この期限は最長で5 年であり、長期間にわたる発電施設の建設・運用などには適さないと思われます。第2は2004年3月29日のデクレ*14によって制度化された港湾外海洋公産利用のコンセッションであり、その期限は最長30年であるほか、環境影響評価や一般公衆へのアンケート実施などが義務付けられています。

現行法上、洋上発電施設の建設に特化した法規則が存在しないため、陸上における行政手続がそのまま準用されることになりますが、実際のところその適用は円滑ではありません。海洋利用調整のための法的枠組みが存在せず、むしろ複数の法制度が複雑に絡み合っています。洋上再生可能エネルギーの開発に際しては国内法、EU法、国際法、海洋法が絡み合い(国内法についてはさらに公法人の所有権に関する法、エネルギー法、都市計画法、環境法に細分化されます)、さらに送電線・電力利用・エネルギー関税・国家補助金に関する様々な規制の網の目がそこに加わります。その結果として、例えば、洋上発電施設の建設のためには環境法典や都市計画法典上の義務を同時に履行しなければならず、そこでは環境影響評価やアンケート実施の義務が別々に課されています。

こうした課題を解決するため、報告書では、①エネルギー法典に洋上再生可能エネルギーのための1 章を設けて、既存の様々な手続(国有地、発電、環境、送電線、都市計画)を再編成する、②計画・手続・開発者のための「総合窓口(guichet unique)」を設置する、③法的・市場的観点における国家の指導機関の権限及び資源を強化する、といったことが提言されています。

なお、上記報告書の発表後の2013年7月10日の大陸棚及び排他的経済水域における人工島・施設・構築物及び付帯施設並びに海底ケーブル・パイプラインに適用可能な規制に関するデクレ*15によって、領海のみならずEEZ における洋上風力発電施設などの建設の可能性も開かれましたが、その開発条件などを定める法規則の制定については依然として今後の課題とされています。

(3)浮体式洋上風力発電技術の発展のための取組

2013年11月6日に国家再生可能エネルギー委員会(CNEM, Comité national des énergies renouvelables en mer)の第1回会合が開催され、そこでMEDDE 大臣のフィリップ・マルタンは浮体式洋上風力発電(éolien en mer flottant)のロードマップを発表しました*16。これは、浮体式洋上風力発電の技術を発展させ中期的に商業化の前段階まで到達することを目標としており、その手始めとして、翌12月の上旬からMEDDEのウェブサイト上での情報の募集(demande d'information)が開始されました。

  1. *1 海洋保護区及びその1類型である海洋自然公園については、平成24年度の報告書(31-35頁)をご参照ください。
  2. *2http://www.aires-marines.fr/L-Agence/Organisation/Parcs-naturels-marins/mayotte/Actualites/Conseil-de-gestion-du-27-fevrier-2014
  3. *3http://www.parc-marin-iroise.fr/Actualites/Tableau-de-bord-comment-va-l-Iroise-en-2014
  4. *4http://www.aires-marines.fr/L-Agence/Organisation/Parcs-naturels-marins/Parc-naturel-marindes-estuaires-picards-et-de-la-mer-d-Opale/Actualites/Conseil-de-gestion-du-Parc-naturel-marin-des-estuaires-picards-et-de-la-mer-d-Opale
  5. *5http://www.parc-marin-iroise.fr/Actualites/Conseil-de-gestion-du-24-janvier-2014
  6. *6http://www.aires-marines.fr/L-Agence/Organisation/Parcs-naturels-marins/Parc-naturel-marindes-estuaires-picards-et-de-la-mer-d-Opale/Actualites/Conseil-de-gestion-du-Parc-marin-des-estuaires-picards-et-de-la-mer-d-Opale
  7. *7http://www.aires-marines.fr/Actualites/Parc-naturel-marin-des-estuaires-picards-et-mer-d-Opalepremier-conseil-de-gestion
  8. *8http://www.aires-marines.fr/L-Agence/Organisation/Parcs-naturels-marins/mayotte/Actualites/Le-conseil-d-administration-de-l-Agence-adopte-le-plan-de-gestion-du-Parc-naturel-marin-de-Mayotte
  9. *9http://www.aires-marines.fr/Actualites/Installation-du-conseil-de-gestion-du-Parc-naturel-marindes-Glorieuses
  10. *10http://www.parc-marin-iroise.fr/Actualites/Reelection-de-Pierre-Maille-a-la-presidence-du-Parc
  11. *11 詳しくは、平成25年度報告書第2部第4章2をご参照ください。
  12. *12 詳細な入札手続や選考基準などについては、平成24年度の報告書(35-37頁)をご参照ください。
  13. *13 Rapport de la mission d'étude sur les énergies marines renouvelables, pp.75-79, available at
    http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/RAPPORT_ENERGIES_MARINES_2013.pdf
  14. *14 Décret n°2004-308 du 29 mars 2004 relatif aux concessions d'utilisation du domaine public maritime en dehors des ports.
  15. *15 Décret n° 2013-611 du 10 juillet 2013 relatif à la réglementation applicable aux îles artificielles, aux installations, aux ouvrages et à leurs installations connexes sur le plateau continental et dans la zone économique et la zone de protection écologique ainsi qu'au tracé des câbles et pipelines sous-marins.
  16. *16http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/2013-11-06_CP_EMR.pdf

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