Ocean Newsletter

オーシャンニュースレター

第476号(2020.06.05発行)

編集後記

帝京大学戦略的イノベーション研究センター客員教授♦窪川かおる

♦6月8日は世界海の日である。持続可能な地球と海洋の未来の実現を目指して、私たちが海と共に生きることを認識する日であろう。本号で紹介される3つの取り組みは、それに呼応するかのように未来を見ている。それらの実現には、海洋の法律と政策の支援が欠かせない。タイムリーなことに海洋政策研究所の前所長の寺島紘士氏が、今に至るわが国の海洋ガバナンスを理解する絶好の書(本ページのインフォメーション参照)を著された。多くの方々に是非お薦めしたい。
♦「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」が2021年に始まる。その実行計画の準備を担う運営企画委員会にはわが国から東京大学名誉教授の植松光夫氏が参画されている。この10年が何を目指し、何が期待されるのか、植松氏にわが国の取り組みへの期待も込めてご寄稿いただいた。計画は、様々な立場からの意見を反映させて推進すること、とくに10年間の活躍世代である今の若者の参画が重視されている。開始は半年後となる。研究者のみならず、すべてのステークホルダーに応援ひいては取り組みへの参加がお願いされている。
♦2019年4月に運用が開始された海洋状況表示システム「海しる」の詳細を海上保安庁海洋情報部海洋空間情報室長の吉田剛氏に解説いただいた。モバイル版も公開されている。一元化にともなう膨大な情報をひとつの画面で重ねて表示できるシステムは、使用目的の多様さへのサポートだけでなく、新たな利用拡充に繋がる期待も大きい。早速「海しる」でご検索ください。
♦神戸大学では2021年4月に海洋政策科学部が新設される。同大学大学院海事科学研究科教授の阿部晃久氏より神戸大学の取り組みをご紹介いただいた。新学部は、海洋分野で必要とされる総合的理解と判断の能力育成を目指し、入試も授業も学生生活までも先進性が用意されている。さらに海技士ライセンスも取得できる。海と人との共生の実現に向けて、神戸大学に集う若者に海の未来を期待したい。(窪川かおる)

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