Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第439号(2018.11.20発行)

編集後記

同志社大学法学部教授◆坂元茂樹

◆日本は6,852島の島から構成される島国である。このうち、北海道・本州・四国・九州に沖縄島を加えた5島の「本土」を除けば、日本の島の数は6,847島となる。2015年の国勢調査によると、日本の有人島数は416島であり、無人島は6,432島になる。もっとも、この数字自体は、海上保安庁が1987年の『海上保安の現況』で用いた、周囲0.1㎞以上で橋や防波堤などの細い構造物でつながっているものを島として扱うという基準によるものである。国連海洋法条約では、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」(第121条1項)と定義され、面積は基準とされていない。
◆2017年4月1日に施行された「有人国境離島法」について、内閣府総合海洋政策推進事務局有人国境離島政策推進室参事官補佐の大山裕司氏から国境離島の保全・管理に関する政府の取り組みについてご寄稿いただいた。同法は、日本国民の居住により、領海等で行われる漁業、海洋調査、領海警備等の活動の拠点機能をもつ有人国境離島地域の機能を維持するための特別措置法である。なかでも本土から遠隔の地にあり、人口が著しく減少している特定有人国境離島地域への取り組みが重要である。本号で紹介されている「日本の国境に行こう!!」のウェブサイトをぜひ一度ご覧いただければ幸いである。
◆2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により研究施設が壊滅的な被害を受けた東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センター長の河村知彦教授より、2018年2月に新しい研究実験棟と共同研究員宿泊棟が完成した同センターの現状についてご紹介いただいた。地震から7年を経た現在でも沿岸域の海洋生態系の変化が継続している三陸沖の事象の科学的調査は、河村教授の指摘にあるように、将来の同様の災害の備えや復旧・復興に役立つであろう。学際的フィールド研究拠点として、さらには国際的な海洋生態系研究の拠点としての発展を目指す同センターの研究活動に期待したい。
◆東京都立小笠原高等学校校長の遠山裕之氏から同校を会場に開催された第2回島しょ高校生サミットについてご寄稿いただいた。大島・大島海洋国際・新島・神津・三宅・八丈の都立島しょ6高校からの生徒12名に小笠原高校の8名を加え、引率の先生方ら43名の参加があったという。各島の課題の共有と改善策の協議を通じた生徒の課題解決力の養成や島しょ高校生のネットワーク作りなどに貢献するこのサミットは、島しょ地域の次世代を担う若者の人材育成として欠かせぬ企画であり、今後も継続できるようにさまざまな方々のご支援を引き続きお願いしたい。 (坂元茂樹)

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