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【Ocean Newsletter】バックナンバー

第431号(2018.07.20 発行)

第3期海洋基本計画の下での新たな海洋政策

[KEYWORDS]総合海洋政策本部参与会議/総合的な海洋の安全保障/新たな海洋立国への挑戦
内閣府総合海洋政策推進事務局長◆羽尾一郎

2018(平成30)年5月15日、新たな海洋基本計画(第3期海洋基本計画)を策定(総合海洋政策本部会合で了承の上、閣議決定)した。
政府としては、本計画に基づき、統合的な形で各施策を、一歩一歩、着実に実施し、計画に掲げる「新たな海洋立国への挑戦」に向けて邁進し、わが国が世界をリードし、世界の模範となる海洋国家として更なる飛躍を果たせるよう取り組む。

第3期海洋基本計画の策定

わが国の海洋に関する政策は、海洋という共通の「場」に関わることから、幅広い分野に及ぶさまざまな個々の施策を、政府全体で総合的に調整しながら進めていくことが必要となる。このため、2007(平成19)年に海洋基本法が制定され、同法に基づき、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚をメンバーとする総合海洋政策本部が設置された。総合海洋政策本部のリーダーシップの下、総合海洋政策本部事務局(現在の内閣府総合海洋政策推進事務局)が中心となって、2期にわたる海洋基本計画を策定し、海洋基本法および海洋基本計画に基づき、海洋に関する諸施策を総合的かつ計画的に講じてきた。第2期海洋基本計画は、2013(平成25)年4月に策定され、2018(平成30)年4月で計画期間の5年を経過することから、昨今の海洋をめぐる情勢や環境の変化に加え、海洋基本法施行後10年の総括を踏まえ、新たな海洋基本計画(第3期海洋基本計画。以下「第3期計画」という)を本年5月15日の第17回総合海洋政策本部会合での了承および閣議決定により策定した。
第3期計画の策定にあたっては、平成29年度からの総合海洋政策本部参与会議において、プロジェクトチーム(PT)等を設置しながら有識者のご意見を広く伺い、第3期計画で踏まえるべき主要な海洋政策の基本的な方針および各テーマの個別施策についての本格的な議論を行った。また、昨年12月の参与会議意見書を踏まえて、政府内の検討を深めるとともに、参与会議における累次の意見交換や、本年4月に実施したパブリックコメントを通じた国民の意見も考慮しながら、関係府省庁とともに検討を積み重ねてきた。

参与会議における検討

政府における第3期計画策定の検討に先立ち、総合海洋政策本部の諮問機関として、海洋に関する施策に係る重要事項について審議し、総合海洋政策本部長に意見を述べるために設置された総合海洋政策本部参与会議において、第3期計画に規定されるべき海洋政策に係る事項等についての審議が行われた。
2017(平成29)年4月以降、参与会議では「基本計画委員会」を設置して第3期計画の全体的な審議を行うとともに、同委員会の下に設置された小委員会およびPTにおいて、4つの主要テーマ(①海洋の安全保障、②海洋の産業利用の促進、③海洋環境の維持・保全、④海洋人材の育成等)についての検討が集中的に行われた。また、平成28年度以前における科学的知見の充実等に関する検討結果を踏まえた審議も基本計画委員会において進められ、参与会議において、「第3期海洋基本計画策定に向けた意見書」が取りまとめられた。本意見書は、2017(平成29)年12月18日に宮原耕治参与会議座長から安倍晋三内閣総理大臣へ手交された。

安倍総理への意見書手交(2017(平成29)年12月18日)

「新たな海洋立国への挑戦」〜海洋政策の着実な推進〜

第17回総合海洋政策本部会合
(2018(平成30)年5月15日)

第3期計画は、参与会議意見書の内容を踏まえながら、海洋基本法施行後10年の総括と、海洋をめぐる最近の情勢を踏まえて策定した。とくに、海洋の安全保障の観点から海洋政策を幅広く捉え、「総合的な海洋の安全保障」として政府一体で取り組みを推進することとしており、具体的には、防衛・海上保安体制を強化するとともに、脅威の早期察知等につながる海洋状況把握(MDA)体制の確立や、わが国の領海等の外縁を根拠付ける国境離島の保全・管理を重点的に取り組むこととしている。
また、「海洋の安全保障」以外にも、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、レアアース泥等のさらなる海洋資源開発や、洋上風力発電の導入拡大など、海洋の産業利用の促進を図っていくこととしており、さらに、北極政策を主要施策として位置付け、研究開発、国際協力、持続的な利用を強力に推進していくこととしている。これらの海洋の主要施策の基本的な方針に基づき、約370項目の海洋施策を第3期計画に定めており、それぞれの項目ごとに実施府省名を明記することにより各施策の実行性を担保するとともに、重点的に進めるとした「MDAの能力強化」を項目として独立してまとめている。
そして、各施策を推進していくため、総合海洋政策本部が総合海洋政策推進事務局と一体となって政府の司令塔としての機能を果たすこと、PDCAサイクルを活用し、俯瞰的・定量的に把握するための指標を用いた工程管理を行うことを記載している。
第3期計画の閣議決定前に開催された第17回総合海洋政策本部会合において、安倍総理からは、①第3期計画では、「新たな海洋立国への挑戦」を掲げ、MDAの能力強化などによる、「総合的な海洋の安全保障」の実現、さらには、海洋の産業利用、北極政策などに、一段とギアアップして取り組んでいくこと、②四方を海に囲まれたわが国にとって、こうした海洋政策は、死活的に重要であり、その成否はわが国の国益に直結すること、についての発言があった。また、総理からは、各閣僚が、その認識を共有し、新計画の下、十分連携して各施策の実施に一層尽力する旨の指示があったことを受けて、政府としては、第3期計画に基づき、統合的な形で各施策を、一歩一歩、着実に実施し、「新たな海洋立国への挑戦」に向けて邁進してまいりたい。(了)

  1. ※1第3期計画の概要は内閣府(海洋政策)HPを参照ください。 http://www8.cao.go.jp/ocean/policies/plan/plan03/plan03.html
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