Ocean Newsletter

オーシャンニューズレター

第430号(2018.07.05発行)

荷主と物流事業者とのマッチングWEBサイトLogi-Link

[KEYWORDS]Logi-Link/国際物流戦略チーム/物流の活性化
関西国際物流戦略チーム事務局、近畿地方整備局港湾空港部クルーズ振興・港湾物流企画室室長◆尾上博文

国際物流戦略チームは、国境を越えたシームレスなサプライチェーン構築を支えるため、関西に立地する事業所を対象に海外展開についてのアンケートを実施した。
その中で出された課題への取組みとして、港湾や空港を利用する荷主と物流事業者とのマッチングWEBサイト「Logi-Link」を立ち上げ、2017(平成29)年6月より運用を行っている。
Logi-Linkの概要を紹介し、さらなる普及および活用を図るものである。

Logi-Link構築の経緯

関西には、アジア地域との結びつきが強く海上コンテナ輸送の拠点である阪神港(神戸港・大阪港)や航空輸送の拠点である関西国際空港など、大阪湾域をゲートウェイとした国際物流網が形成されています。
阪神港と東アジアならびに東南アジアとを結ぶコンテナ船の寄港便数は2017(平成29)年11月現在で約140便/週となっており、阪神港に就航する全外航コンテナ船の寄港便数の約155便/週に対して約9割を占めている状況です。
大阪湾域等の国際物流基盤は、近畿地方を中心に西日本全域をも背後圏としており、その機能を強化し、グローバル化するサプライチェーンのシームレス化を図ることは、関西経済の活性化に資するばかりではなく、活力ある日本を築く上でとくに重要な課題であります。
そこで、2005(平成17)年に関西経済連合会、近畿地方整備局、近畿運輸局、大阪航空局を事務局とする「関西国際物流戦略チーム」を設立し、産学官一体となり、国際的なゲートウェイとなる大阪湾域等の物流の課題を的確に把握・分析するとともに、国際物流の活性化を目指した総合的・戦略的な各種施策を展開することとなりました。
平成27年度に、国際物流戦略チームにおいて、物流の現況や課題等を把握し、より効率的な国際物流の構築を目的に、近畿地区内の事業者(製造業・協同組合、卸売業・小売業、物流事業)を対象にアンケート調査を実施しました。アンケートでは、とくに小規模の事業所から以下の意見がありました。

  1. 輸送方法が分からず、相談する公的機関がない。
  2. 取引の候補はあっても、コンテナ化できるほどの貨物量が確保できない。
  3. 輸送を依頼できる物流事業者が分からない。

また、官公庁からも物流事業者を一覧化し検索できるWEBサイトがあると良いとの意見もあり、荷主と物流事業者とのマッチングWEBサイトLogi-Link(ロジリンク)を構築し、2017(平成29)年6月30日より運用を開始しました。

■Logi-Linkのトップページ
URL:https://logi-link.net/wp2/
■物流機能検索機能の活用イメージ

Logi-Linkの機能

Logi-Linkの目指すものとしては、海外とのビジネスを促進したい荷主の物流上の障害を低減すること、物流事業者の新たな物流の需要の創出を促進させること等により、両者の需要とニーズをマッチングさせ、新たに関西における国際貨物の物流サービスを創出していくことにあります。
図に示すように、Logi-Linkは大きく2つの機能を有しています。
1つめは、物流事業者検索機能です。物流事業者が自社の情報を所定のフォームに沿って本サイトに登録し、荷主等が自らのニーズにあった物流事業者を閲覧・検索することができます。
2つめは、掲示板機能です。海外に貨物を送りたい荷主が、疑問や質問を投稿し、物流事業者が掲載した回答を閲覧することで、疑問などを解消するための質問用掲示板と、登録した物流事業者が自社の強みや特色を掲載するPR用掲示板の物流情報掲示板機能で構成しています。
これらの機能を生かすために、Logi-Linkでは、物流事業者の情報をデータベース化しています。事業者名や所在地、連絡先の会社概要、集貨エリアや輸送手段の事業概要、取引相手国や取扱品目の実績等の自社の強みやPR内容 といった項目を物流事業者に登録していただいています。登録することにより物流事業者として物流情報掲示板への書き込みも可能となります。

■Logi-Linkの機能のイメージ

Logi-Linkの利活用

Logi-Linkの利用は、基本的にはアクセスフリーとなっていますが、物流情報掲示板に書き込みを行う場合のみ、ユーザー情報の収集およびいたずら防止等を目的に、業種やEmail、掲示板用ハンドルネーム等の5項目の登録が必要となっています。
2018(平成30)年4月時点で物流事業者登録数は183事業所、荷主の登録数は3社となっており、運用開始以来の本サイトへのアクセス数は約3,000件、物流事業者検索数は約800件に上っているところであります。
今後ともさらにLogi-Linkの検索機能や掲示板機能を利用いただき、荷主が自社のニーズに合った物流事業者に、メールや電話等での連絡や問い合わせを行うことで、商談につながることを期待しております。
Logi-Linkのさらなる普及には、できるだけ多くの物流事業者の登録が必要であります。引き続き物流事業者情報への登録をお願いするとともに、本サイトの活用により貨物の輸出入の商談が成立し、さらに関西の国際物流の活性化が図られることを期待しております。(了)

  1. 関西国際物流戦略チーム http://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kbutsuryu/top.html

第430号(2018.07.05発行)のその他の記事

ページトップ