Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第417号(2017.12.20 発行)

編集後記

同志社大学法学部教授◆坂元茂樹

◆近年、海洋政策の立案・実施のツールとして注目を浴びている「海洋空間計画(Marine Spatial Planning)」に関する米国の取り組みについて、東北公益文科大学の樋口恵佳氏よりご寄稿いただいた。米国では、州が管轄権をもつ「沿岸」の3海里を加え、「沿岸・海洋空間計画(CMSP)」が作成されているが、米国の北東地域海洋計画が詳細に紹介されている。CMSPは、沿岸およびEEZの持続可能な利用と生態系保全のための、総合的、順応的、統合的な、透明性に基づく空間計画のプロセスとされる。さまざまなステークホルダーが参画し、米国の海洋政策の実施を監督する「国家海洋会議(NOC)」の承認を受けた「北東地域海洋計画」の策定プロセスは、日本のEEZの管理のあり方に多くの示唆を与えてくれる。
◆2010年の尖閣諸島沖の中国漁船拿捕事件で、中国が、日本に対する対抗措置として、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアースの対日輸出停止を持ち出したことは記憶に新しい。レアアースの生産量は中国が世界の85%を占めており、この戦略的資源の供給源の確保は、日本の資源安全保障上の重要な課題となっている。東京大学のエネルギー・資源フロンティアセンター教授の加藤泰浩氏から、南鳥島のEEZ における「超高濃度レアアース泥」発見の成果についてご寄稿いただいた。加藤教授によれば、南鳥島沖の有望海域におけるレアアースの資源量は膨大であり、日本経済の成長戦略の起爆剤となりうる可能性を秘めているとされる。南鳥島レアアース泥の揚泥実証試験の早急な実施につき、国全体として取り組む必要があろう。
◆国連環境計画(UNEP)に勤務する長谷川香菜子氏から、UNEPによる海洋環境保全のための14の地域海プログラムと同プログラムに参加する4つの地域海の取り組みについてご寄稿いただいた。海はつながっており、一国で海洋汚染の問題を解決することができないことはもちろん、海域ごとに異なる環境的特徴を有するために、地域海プログラムのように地域レベルで取り組むことで、より地域のニーズに合致した行動がとれるわけで、この計画を支える条約体制があることがわかりやすく説明されている。こうした既存の枠組みが、海洋の温暖化や酸性化にどう対応していくのかという課題も指摘されている。ぜひご一読を。 (坂元)

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