Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第414号(2017.11.05 発行)

編集後記

東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授◆窪川かおる

◆11月5日は「津波防災の日」であり、「世界津波の日」でもある。後者が国連総会で2015年12月に決定され制定された経緯については、稲むらの火の館館長の崎山光一氏が、今号で詳しく述べられている。稲むらの火の主人公がとった人命第一の行動および復興と防災に向けた実行力への感銘は、世界共通である。津波は、頻度は低くても壊滅的な被害をもたらす。防災のための活動は何百年も続くかもしれず、自然の脅威に対峙する人類の長大な挑戦と言える。しかも、その時その場に居合わせる可能性は誰にでもある。たとえば、訪日外国人旅行者が2,000万人を超えたように、人々の移動は広がる一方である。そして世界津波の日は、言語や民族や利害を超えた万人共通の理解として共有され始めたばかりである。地震と津波への警戒を怠らないわが国の知恵と技術での貢献が期待される。その象徴でもある稲むらの火の館は、主人公である濱口梧陵の記念館と津波防災教育センターからなり、一度は訪れなければならないと思っている施設である。このページにある切手は、津波防災の日制定と世界津波の日制定を記念し、稲むらの火を基にする意匠である。
◆2030年に総発電量の1.7%を風力発電で担うには、1,000基以上の風車が必要になるという。須山孝行氏に北九州市響灘の「グリーンエネルギーポートひびき」事業の解説をいただいた。これは、洋上風力発電所のみではなく、「風車の積み出し拠点」「輸出入/移出入拠点」「産業拠点」の総合拠点を形成し、国内外の風力発電の需要を支える事業である。選定された「ひびきウインドエナジー」が、風車44基の運転と関連産業の拠点形成を目指す。海洋産業に新たな風が吹こうとしている。
◆沖縄の観光パンフレットにサンゴ礁と民家の屋根はつき物であろう。屋根の上で家と人を守るシーサーの足元には、赤い瓦と白い目地がある。昔は、この白い目地がサンゴを焼いて作る沖縄漆喰であったことを深山直子氏に教えていただいた。かつての沖縄では、サンゴ礁は漁場であるばかりでなく、サンゴを建築資材として提供していたが、1972年の復帰の年に規制されたという。石垣島の古老からの聞き取りは、住民とサンゴの関係を知る貴重な記録である。 (窪川)

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