私たちは、海運事業者として、物流を通じて人々の豊かな暮らしに貢献するとともに、この青く美しい海と持続可能な社会とを次世代に伝えていく使命を担っていると考えています。
その先の未来の子供たちへ、青い海をつなぐための環境ビジョンのマイルストーンのひとつとして、私たちはDRIVE GREEN PROJECTに取り組み、次世代環境フラグシップを竣工させました。
環境ビジョン2050『青い海を明日へつなぐ』
https://www.kline.co.jp/news/detail/1202374_1454.html
国際間で輸送される物流のおよそ99%(重量ベース)が船舶で輸送されています。地球環境問題の深刻化は、元来低負荷である海運事業者にも多くの課題を投げかけており、持続可能な社会を実現していくための環境保全の必要性はますます高まっています。
私たちは、青い海を明日へつなぐため「海洋汚染・生態系」「エネルギー資源」「地球温暖化」「大気汚染」の4つの重要課題を特定したうえで、長期の環境指針『環境ビジョン2050~青い海を明日へつなぐ』を2015年3月に策定しました※1。
さまざまな輸送手段のなかで、船舶による輸送は一度に大量のモノを輸送できる非常に効率的で環境に優しい輸送手段ですが、舶用ディーゼル機関は重油を燃料とするため、排出ガス中には地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の他に、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)など、酸性雨や光化学スモッグを引き起こす因子が含まれており、環境に及ぼす影響は無視できません。世界最先端の船舶技術を結集して、究極の省エネと環境保全を追及する「DRIVE GREEN PROJECT」は、この環境ビジョンのなかでも「環境フラグシップの建造と実証」として重要なマイルストーンとして位置づけられています。
川崎汽船の「DRIVE GREEN HIGHWAY」
2016年2月、横浜大さん橋にて、世界最大級(長さ200m、幅37.5m、高さ38.23m)、かつ、最先端の環境技術がぎっしり詰まっている自動車専用船、次世代環境フラグシップ「DRIVE GREEN HIGHWAY(ドライブ・グリーン・ハイウエー)」をご披露、一般公開致し、大勢の方にその勇姿をご覧頂きました。赤と白を基調とした船体に、「DRIVE GREEN」の文字が記されたこの船は、ジャパン マリンユナイテッド(株)有明事業所で建造された「DRIVE GREEN PROJCT」の集大成となる大型船です※2。
最先端の環境技術を詰め込んだDRIVE GREEN HIGHWAYは、輸送車両1台あたりのCO2排出量を既存大型船と比較し25%以上、NOxは50%以上、SOxは90%以上の削減を可能としており、NOx / SOx排出規制も先取りして達成しています。また、この船は、2016年6月に拡張されたパナマ運河通行を見据えた幅広デザインを採用した新船型船で、従来の大型自動車船から積載台数を約1,000台アップし、約7,500台もの車両積載能力を持つとともに、鉄道車両、建設機械、プラント貨物など大型貨物の輸送力も高めており、最先端の環境技術も含めて「すべて投入した船」となりました。
このプロジェクトによって、環境に優しい未来の海運の絵姿を先行して実現、公開することにより、対象船のみならず、環境対応のソリューションのひとつとして、業界全体のモチベ-ションが高まることや、さらなる改良や技術の発展に寄与できればと考えています。
環境設備は多岐に渡りますが、主要なものを以下に、ご紹介いたします。