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第333号( 2014.06.20 発行)
第333号(2014.06.20 発行)

国際エメックスセンターの活動

[KEYWORDS]閉鎖性沿岸海域/統合沿岸管理/里海概念
(公財)国際エメックスセンター特別研究員、九州大学名誉教授◆柳 哲雄

1990年神戸で第1回を開催して以来、2~3年ごとに世界各地で開催されてきた日本発の国際会議EMECS(Environmental Management of Enclosed Coastal Seas:閉鎖性沿岸海域の環境保全会議)を主催する、公益財団法人国際エメックスセンターの歴史・組織・活動を紹介する。

歴史

瀬戸内海・チェサピーク湾といった世界中の閉鎖性沿岸海域の環境保全・創造活動を効果的に行うために、科学者・行政担当者・NPO関係者などの情報交流を目的とした、第1回EMECS (Environmental Management of Enclosed Coastal Seas:閉鎖性沿岸海域の環境保全会議) が1990年に神戸で開催された。さらに1993年にはアメリカ・ボルチモアで第2回EMECSが開催された。そして、1994年にその後のEMECSを計画・実行する事務局として神戸に国際エメックスセンター※1が設立された。
日本発の国際会議EMECSは1997年ストックホルム、1999年トルコ・アンタリヤ、2001年神戸、2003年バンコク、2006年フランス・カーン、2008年上海、2011年ボルチモア、2013年トルコ・マルマリスと2~3年ごとに世界各地で開催され続けている。次回、第11回EMECSは2016年8月にロシアのサンクトペテルブルグで開催される予定である。
国際エメックスセンターは2000年に財団法人となり、2012年には公益財団法人に移行して、現在に至っている。

組織体制

国際エメックスセンターは理事会(10名、理事長:井戸敏三兵庫県知事)、評議員会(10名、会長:鈴木基之東大名誉教授)、科学政策委員会(日本人10名、外国人15名、委員長:渡辺正孝慶應大教授)という三つの会と事務局から構成されている。
理事会は執行機関で、センターの予算・決算・事業計画を決定する。評議員会は総会機能を有し、理事会の執行状況をチェック・承認する。EMECSの開催場所・討議議題などは、科学政策委員会での議論によって決定される。

閉鎖性海域環境保全推進事業等

国際エメックスセンターは 2~3年ごとに、世界各地でEMECS会議を開催するとともに、世界各地の閉鎖性沿岸海域の環境保全・創造活動に取り組む研究者・行政担当者・NPO関係者を神戸に招いて、毎年国際セミナーを開催している。また、瀬戸内海で海域環境研究を行っている高校生2名をEMECSに派遣し、「青少年環境教育交流セッション」で研究発表し、諸外国の若者と議論する機会を与えている。さらに、2008年の上海以降は毎回のEMECS時に「Satoumiセッション」を主催し、このセッションでの招待講演者の旅費補助を行っている。この他、センターのHPを常時更新するとともに、年1~2回ニュースレター(日本語・英語)を発刊し、情報発信を行っている。

研究事業

■図:「持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の実現」研究概要

国際エメックスセンターが事務局となり、環境省の環境研究総合推進費による「持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発」(研究代表者:柳 哲雄)が2014~2018年に行われる。
この研究は「きれいで、豊かで、賑わいのある持続可能な沿岸海域」を実現する行政施策に資する科学的知見を得るために、閉鎖性沿岸海域の代表としての瀬戸内海、開放的沿岸海域の代表としての三陸沿岸海域、国際管理が必要な沿岸海域の代表としての日本海、の環境特性把握研究に社会科学・人文科学的研究の知見も踏まえ、どのような統合モデルをどう"見える化"して、環境保全・創造のための協議会に提示すれば沿岸海域の環境保全・創造施策を効率的に行えるか、という研究を、里海概念※2を基にして、行う予定である。
この研究は、テーマ1~テーマ5で得られる研究成果を統合して、ICSU(International Council for Science:世界学術会議)が2013年から開始したFuture Earth(持続可能な地球環境研究)の目指すtrans-disciplinary study for co-design science(利害関係者・NPO・行政・研究者で将来の沿岸海域のあり方を協働設計するための領域融合的研究)に貢献しようというもので、5年後の研究成果を、未来設計学のひとつの見本として国際発信したいと考えている。(了)

※1 国際エメックスセンター http://www.emecs.or.jp
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